マーガレットホテル244 | camouflage

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いつもの通り





3月の第一日曜日
聡たち、4人は大津市の皇子山陸上競技場を号砲と共に出発した


ベースメーカーが、30キロまで行ってくれるらしい
大出監督は、30キロまでは何もするな
と、聡たちに言った
ギョンヨンが招待選手のナンバーカードを付けて、聡、新開、秀俊は一般出場選手のナンバーカードを付けた

今年の8月には世界陸上がソウルで行われる
一昨年ソウルの隣のインチョンで行われたのだが、二回連続韓国で行われる事には誰一人文句は言わなかった

日本選手の出場枠は5人
2時間8分を切り、日本人トップなら文句無しに代表に内定する
新開は日本選手5人目でいいから、是が非でも世界陸上に出たいという気持ちで一杯だった
新開は闘志を持ち参加したが、ペースメーカーにレースの組立を任せて、軽く、目立たないように走っていた

5キロの通過タイムは14分52秒

大出監督は、ちょっと早いな、と感じた
今日は東風が軽く吹いていた
まあ、大して影響は無いだろうと感じた

去年のイスタンブールオリンピックで優勝したチェヨンは、もう世界陸上出場が決まっている
今年はソウル?と驚いたが、何より地元は走りやすい、韓国の皆に勇気を与えようと、躍起になっていた
しかしチェヨンは自分より持ちタイムが良い聡が何故招待選手に選ばれなかったのか不思議がった
良く聞いてみると、手違いがあったらしい

え?聡は2時間16分43秒って間違えられたのですか!?
去年の春に記録を出したばかりなのに!
と、チェヨンは怒りと馬鹿さ加減に呆れてしまった

佐賀マラソンが、全く認知されていない!
俺は佐賀の方々の為にも走る
と憤慨していた

10キロ通過タイムは29分44秒

精密機械みたいなペースメーカーだ
その、ペースメーカーに付いていけない選手が1人また1人と遅れていく
先頭集団はすっきりしてきていた


新開は、苦悶の表情を浮かべ、何度も5メートル離れてまた追いつき、また遅れるっていうレースしたが、結局折り返し点まで先頭集団10名の中に入り、走ってきた

秀俊もあまり余裕はなかった
一番最初に遅れるのは自分だ、感じた
 
しかし聡とチェヨンが再三横にやってきて新開と秀俊を、励ますから何度も追いついた

秀俊!!

見るとチェファが本当にいた
チェファはしばらく横を走っていた
悟られないように、チェファは韓国語言った

まけるな、秀俊!
まだまだだ大丈夫よ!
タクシーで来たの、終わったらハグしよう!

チェファ!
大好きだ
俺との結婚を前提に付き合ってくれ!

聞いた、聡がスペシャルドリンクを吹き出した
聡は韓国語が分かる

へえ、チェファっていうんだ彼女

新開も韓国語は、分かる
やり取りを
見ていた




35キロ地点に回るからね!
秀俊となら結婚して良いよ!

解説の瀬古さんが

この前もあの子、見ましたねえ
若いって良いなあ
告白でもしたんですかね
私もあの頃に戻りたいです
僕のカミサンは素敵でしてね


秀俊って横浜駅とかびわ湖マラソンの時とか、公衆の面前で…

綾奈、鏡は呆れていた

やがて、先頭集団は聡たち4人になり
30キロでペースメーカーが止めると
チェヨンは

さあ!行くぞ!

と、檄を飛ばした