初めての事ばかりで戸惑う様子も
大出監督の車が前を走り、チェヨンたちの集団にくっついている
集団の後方辺りでは赤水が、落伍者を拾って行く予定
午前中は40km走る予定
聡、秀俊、新開は、生まれて初めて40kmを走る
自分たちが軟弱な練習をしていたのでは?と、疑問符が湧く
30km走って、秀俊が落ち気味
チェヨンが走り寄ってきて、大丈夫か?秀俊くん、と言葉をかけ、赤水に無理だとサインを出した
秀俊は集団から降りた
赤水が走り寄り、助手席に乗せた
僕も最初は40は走れなかった
秀俊は落ち込む必要はないよ
俺は、これでも2時間8分台で走れるようになったから
すいません、赤水コーチ
謝る必要はない
これから色々あるだろうけど、その都度切り替えを早くするんだ、秀俊
新開は、再三落ちながら、また這い上がって集団につく
チェヨンくん!ペースメーカー止めていいから、スパートしろ!
大出監督はチェヨンに普通の走りをするよう伝えた
すると全員みるみる離れて行く
新開もいっぱいいっぱいらしかった
聡が付こうとはしていた
チェヨンの後ろにつく
しかし、チェヨンの走りには、やや遅れ気味だ
こら!お前ら、大学生に負けるつもりか!
いやあ、聡くんは6分台の記録は持ってるから、なかなか良かったですよ
と、チェヨンが赤水に言ったら
マイペースだったんだよ、あの時は
集団から抜け出し離れるのが早かったし
駆け引きが、まだ無いようだね
って返してきた
新開も粘っこい走りをしたが、社会人には翻弄された
芝生に横たわり、肩で息をしている
さあ、夕方まで休め
夕方にまた練習だ
大出監督は、普段に戻っていた
一番ガ瀬くんは、良い選手たちを見つけ出したね
三ツ境くんは、赤水くんが見つけ出したんだって?
いい素材が3人
将来が楽しみだ
大出監督は赤水に微笑んだ

夜、秀俊は部屋でチェファとメールを交わしていた
ねえ、秀俊、週末ちょっと佐賀に遊びに行くよ
何?来てくれんの?
うん、羽田から便があるよね
チケット取っちゃった
え?マジ?
来て来て!
励ましに行ってあげるよ!
大出監督は連日激しい練習を重ねた
大学生の3人は必死だった
時間がある時は綾奈や鏡も手伝った
まだまだこれからだよね、鏡
マラソンに3人が走れるようになるまで
聡が一番やりたかったのはマラソンだから
新開は、大丈夫かなあ
そういう風になったら、金曜日が来た
秀俊は佐賀空港に行くバスに乗っていた
そして、空港でチェファと会い抱きしめた
バスに乗り
もう、佐賀もクリスマス近いから、ライトアップされてる、少し一緒に歩かないか?
ライトアップされた中を
秀俊は準急バスを県庁の前で降りて、駅までチェファと腕を組んで歩いていた
そんな仲むつまじい2人を見つけた人間がいた
実南だった
たまたま、男子と歩いていた
秀俊とチェファが向こう側の歩道を駅に向かって歩いていた
あ…、新しい人、好きになったんだね…
良かった…
実南、そこが一番光が明るい、休もう
と、彼が言った
そしていきなりハグされてキスをした
もう、実南は秀俊とほとんどメールをしていない
自然に消滅した
彼らには長距離恋愛は厳しかったのかも知れない
実南と彼も長く抱擁しあっていた