このまま、逃げ切りましょう、チェヨンひょん
ああ、分かってるさ
チェヨンは今年のイスタンブール五輪マラソン代表だが、新開と上位争いをする、この長くて13,14キロのレースでは新開には適わなかった
多分俺は、今回出場するソウル大会が、今年最後かも知れない
スピードつけたあと、マラソン練習に切り替える
あ、そういや、チェヨンひょんは8分台の記録あるから、韓国代表ですよね
ああ、英介、助かったよ、俺は、スピードにある程度自信をつけた
2人はアフリカの選手たちを振りちぎって、トップ争いをしている中、色々話しながら走っていた
お前も早くマラソンに出て来い
いつか、必ず
二人は並らんだまま、ゴールに入った
係員がゴールに入った瞬間がどっちも同じと言う
僅かにどっちが早く入ったか、写真でもICチップでも分からないと言うんだ
僅かに新開が先ですかねえ
二人はとにかく、どちらにしても1位2位になったのだ
アフリカ代表に対して、これだけ走るとは凄いな
希望が持てる
という係員もいた
日韓戦は引き分けみたいなものであった

聡は、マラソン練習には全く参加したことはない
この4月第1週に行われる佐賀マラソンに参加してすぐ川崎に帰る
まあ、距離を踏むって、感じで軽く走ってこい、と監督に言われた
コースは競技場から一旦南へ走り、佐賀城の中を回りまた、競技場前に戻り、次に吉野ヶ里方面へ行く、そして神埼市から西側に戻るコース
30キロを過ぎた
祐平がさっきまで併走していたが落ちた
トップは聡一人になった
1キロを3分以内のペースに上げてみた
まだ、余裕が余っている
間もなくしたら、川のそばを走るコースになる
綾奈の姿が見えた
ニコッと聡は微笑んだ
今の5キロ、14分20秒で走れた
35キロで計測したら
川のそばを悠々と走る聡だ
監督、多分2時間7分台でいけますよ
軽く走ってますが、聡は
赤水は監督に言った
祐平が普通の走りなんですけどね
あいつ、こんなにスタミナあったんだ
監督は呟いた
35キロから40キロが14分32秒
メチャクチャだな
祐平たちが2時間11分台のペースで行ってるが
これ、6分台も狙えないでもない
聡は悠々と、県立競技場に戻ってきた
県庁の人の記録を抜いてる
そして、2時間6分43秒で走りきった
グラウンドに走り寄って来た、マネージャー綾奈と、控えめに握手をした
10000の、練習ばかりで飽きたんだ
いつか、走ろうとは思っていたが、まさか、だった
余裕しゃくしゃくな走りだったね
何か足取り軽かったよ

聡が2時間6分台でゴールしたらしい、綾奈から連絡があった
再起を誓う柴田に全員に伝えてきた
何!6分台?
相変わらずかますよなあ
ジョッグ程度で走ってくるとか、言いながら…
秀俊や残りの部員たちも喜んだ
驚きを含めた
よし!俺らもかましてやろうぜ
秀俊はやや早いペースで走り始めた
佐賀も五輪選考会に選ばせてたら、楽々代表になれたな
さぞかし、聡の走りには驚いただろう!
秀俊は走りながら、考えていた
とりあえず26分台でゴールしよう!

一番ヶ瀬監督は、彼らには早過ぎると考えていた
もうマラソン代表は決まったが、選考会では走ってない
良かったかも知れないな
とりあえず、オリンピックで狙わせるのが、今は最適
聡が調子乗らないようにしないと
と、考えていたら、監督!一年間佐賀牛食べていいようです
綾奈がトップの賞品のプラカードを貰って、監督に見せた
みんなで佐賀牛食べまくりましょう!