マーガレットホテル186 | camouflage

camouflage

いつもの通り


柴田の様子がおかしい
急に元気がなくなった

いかん!低血糖だ
スタミナを急に無くしたんだ

一番ヶ瀬は監督車を降り、甘いドリンクを渡そうと試みた
ふらふらして、やや蛇行気味な柴田は甘い飲み物を一番ヶ瀬から貰い、飲んだ





やっべえ、柴田が低血糖になりやがった

小田原の中継点にいる聡と綾奈は、びっくりして4区柴田の様子を見る

3区祐平がせっかく区間賞を取り、追い上げていた青学だが、4区柴田がスタミナ切れを起こした

あと1キロで足踏みをする
小田原では、今、トップの大学がタスキを繋いだとこだ

柴田、頑張ってくれ!

2区区間賞の新開は、既に箱根のゴール地点で状況を見ていた

去年、青学は、5区で2着に6分もの差をつけて往路優勝した

新開は隣にいる中津と話していた
6分差までなら、聡がギリギリ稼いでくれるかも知れないね
と、中津と話していた

柴田はよれよれになって蒲鉾屋がある中継点まで来た

う~ん、8分差の8位なあ
厳しいかも知れない

聡は柴田をいたわりスタートした
柴田は泣いていた

柴田、大丈夫よ、聡も頑張ると思うから
全部背負っちゃダメだよ



幾ら、聡でも難しいな

新開と中津は話していた

中津は言う

失敗したよ、俺
油断があったんだ
俺のおかげで、とうとう一度もトップに立てなかった
気の緩みはあった
もう一度、力を出せるようにしたい

1区の自分の走りを思い出しながら、中津は反省していた

新開も中津もお通夜みたいな雰囲気になっていた


監督、彼、5キロ13分50で通過してますよ

鏡の言葉に監督は聡に

バカ!早過ぎる!ペース落とせ!

真横に出て、怒りの言葉を浴びせた

レースを潰す気か、お前!

聡は真横にいた監督車に、このペースで行くと言った

すみません、監督
一度このペースに乗っかっちゃったら、行くしかありません

馬鹿たれ!死ね!
いや、済まない、最後まで持たない、幾ら君でも!

一番ヶ瀬の言葉を聞き、ペースを上げた

聡、今6位よ!
うちには秀俊が待ってるから、無理しないで

トップに上がるだけさ

聡は興奮状態に入ったのか、無理矢理登る




綾奈は箱根湯本の駅に着いた
今から芦ノ湖なら、だいぶ遅れちゃうなあ

でも後は登山鉄道に乗るしかない
綾奈のスマホは電池切れをしてる

連絡のとりようがないなあ

綾奈は取り敢えず、登山鉄道に乗った
綾奈はレースの状況は全く分からなかった

乗客が色々話していた
駅伝について
耳を凝らす
青山学院、2位に上がったんだって

ゑ?

芦ノ湯の最高地点で40m差だって、青学
1位の東洋と
青学、やっぱり強いなあ~

なぬ?


聡、頑張れ~、ここまでの追い上げでも凄いんだが、頑張れー!

中津が必死に声援をモニターの聡に送る
新開は途中から呆れていた

こりゃ、世界1位になるわ
凄い
同じ大学で良かった

新開は、1人ごちて、モニターを見た
聡も下りに入り、スピードを上げられるだけ上げた

1キロ、2分10のペース


聡の走りに、監督車の一番ヶ瀬と鏡も、呆れていた

あいつってさ、鏡、ケニア人かケニアの血入ってんじゃねえか?

エチオピアも有り得ますね、監督…

今度dna鑑定頼もう、鏡

聡はトップに立ち、東洋の選手を遠く後ろに置いて、往路優勝のテープを目指した
そして右折
残り150になった

聡は新開と中津に当たり、祐平が助け上げた
聡は粗い息を立てていて、やがて起きなくなり意識が薄くなり、担架で運ばれた

監督と鏡もやってきて、黙ったまま治療室に向かった
中津も泣いていた
新開も泣きそうだ

何で勝てたんだろう

新開と中津は抱き合って大泣きしていた

芦ノ湖ゴール地点は大騒ぎになっていた

青学で良かった、青学で良かった、と部員全員で泣いていた

聡先輩、しばらく走らない方が良いそうです…
人事不省?って言うんですか?


さすがの祐平もそう報告して、泣いていた

何で、涙が出てくるんだろう…