修学旅行に出る日が近づいていた。
「理菜、修学旅行には行けないの」
理菜は 元気なく病室で呟いていた。
修学旅行は、中国 雲南省へ行く。
焦った僕は 理菜を病院から連れ出し、雨の中 ジャージ姿の理菜とバスを待った。
理菜を国際線に乗せ、雲南省の大自然を見せるつもりだった。
「理菜、俺と一緒に雲南省へ行こう!」
僕と理菜は 関空行き便を案内板で見たが 台風で飛ばないという。
「何故 飛ばないんです!飛ばして下さい!」
搭乗員の態度が気にいらなかったので 僕は胸倉を掴んだ。
見ると理菜が椅子に横になっている。
僕と身長が一緒の理菜の身体を抱き抱えた。
「雲南省へ行かせて下さい!」
僕は気がつくと ベッドの上だった。
先生が往診に来ていた。
僕は ストレス性の胃炎にかかっていた。
「しばらく無理をしないように」
そこで理菜は 転校して行ったと病室で聞いた。
そして 僕は 理菜と会うことはなかった。