丘の上の庭 その11 | camouflage

camouflage

いつもの通り

そのサン・テグ・ジュペリの『星の王子様』も宮澤賢治も読んだことがなかったアキヒロは



「へえ、サリンジャーか。難しい本読むね」



と司書の先生に言われ 調子づいた



褒美にもらった先生の赤い手袋を 一度仏壇に捧げ それから冬になると 大事な手袋をはめて 練習にも来ていた



アキヒロは地肩が強く 外野を守り チームの次期エースとしても時々マウンドへ上がってた



クレヴァーなマンソンは 5年になるとショートからキャッチャに回された



「えー?ショートやりたかったなあ」



マンソンは珍しく不満をもらした



ショートをやりたがってただけに肩はやはり強く それに動きも俊敏だ



「座って受けたこたないよ」



そしてそのまま 僕たちは中学へ進学した