マーガレットホテル027 | camouflage

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いつもの通り

実南は最近元気がない
秀俊も少し気にしている

「どしたん?最近」

「いや、何でもないよ」

実南も不調については何も言わない
ただ、何か考え込んでいる

秀俊は実南を自由が丘に連れて行き、一緒に映画を見て、何か食べようか、と誘った

えー、どう行きゃいいんだ?自由が丘
田園都市線で二子玉まで行き乗り換えかな

秀俊もうっかり言わなきゃ良かった、と後悔している
ただでさえ電車あまり好きじゃないのに
高校までは走って通っている





「あーっ!こんな映画面白くない!出ようよ!」

綾奈は勝手に席を立って出て行ってしまった

秀俊も良く確かめずに入ってしまったが、ヒッチコックの裏窓というサスペンスを選んでしまった

「ただの覗き見のおっちゃんの話やん!」

実南はイラついている
最近

「家、帰ろうか。何か寂しい」

と感情が安定しない

「ん、カフェ入ろう」

秀俊は実南を生まれて初めてスタバってみようとした
そして叔父叔母に話してみようと思った

「阿蘇、帰りたい…」

実南は隅っこの席で今泣いている
秀俊は席を立ち実南の横へ来て、左肩をポンポンと優しく叩く

「お父さんやお母さんに会いたいよ」

実南は泣きじゃくっていた
そう、実の父母じゃないとな
と、秀俊は肩を抱いた

自分たちも阿蘇の方言が聞きたい
誰だ、あんなとこにロケット発射台作ったの

良い迷惑だ…!