022 夏3 | camouflage

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いつもの通り

こんな山奥に実力がある選手がいるのか

青学大コーチの三好は、1日3回しかJRが来ない、中国地方のとある山村に向かって歩いている
県道は狭く家もないが、途中に『家馬岳入口。頂上まで五時間』という標識を見て山道を歩き始めた

いよいよ水が流れる音、鳥が鳴く声しか聞こえない厳しい道になった
川を三回渡って蔓の吊り橋も渡った
片側は川になっていて、草原も歩いた

初顔合わせなんで、人となりは分からないが、こんな登山道に住んでるなら体は丈夫なんだろうな




祐平となずなは、横になって青空を見ていた

「本当、ダメなんだよ…」

「ダメ。なずなの事、好きだから」

今日もなずなは抵抗出来なかった

「私、高校の近くにあるスーパーに好きな男の人がいるの」

「俺の方がその人よりよっぽどいいって」

「帰ろう、祐平」




矢部、橋を渡り5分
の手書きの標識があった
この矢部という所に小栗祐平の住む家がある

夏なんで服が汗塗れだ
一時間もかかったぞ

三好は上着を脱いで、シャツで歩いている

しばらく歩くと峠で、矢部の結構大きな集落が見えた
もう夕方である

三好は集落に入り、まず初めなか大きな家を見て、表札に小栗とあるのを見て、呼び鈴を押した

「あの、うちに何か…」

なずなが聞いた
祐平も一緒にいる

「ああ!良かった。君が祐平くんだね、で隣は双子のお姉さんか」

2人はうなずいた