こんな山奥に実力がある選手がいるのか
青学大コーチの三好は、1日3回しかJRが来ない、中国地方のとある山村に向かって歩いている
県道は狭く家もないが、途中に『家馬岳入口。頂上まで五時間』という標識を見て山道を歩き始めた
いよいよ水が流れる音、鳥が鳴く声しか聞こえない厳しい道になった
川を三回渡って蔓の吊り橋も渡った
片側は川になっていて、草原も歩いた
初顔合わせなんで、人となりは分からないが、こんな登山道に住んでるなら体は丈夫なんだろうな
祐平となずなは、横になって青空を見ていた
「本当、ダメなんだよ…」
「ダメ。なずなの事、好きだから」
今日もなずなは抵抗出来なかった
「私、高校の近くにあるスーパーに好きな男の人がいるの」
「俺の方がその人よりよっぽどいいって」
「帰ろう、祐平」
矢部、橋を渡り5分
の手書きの標識があった
この矢部という所に小栗祐平の住む家がある
夏なんで服が汗塗れだ
一時間もかかったぞ
三好は上着を脱いで、シャツで歩いている
しばらく歩くと峠で、矢部の結構大きな集落が見えた
もう夕方である
三好は集落に入り、まず初めなか大きな家を見て、表札に小栗とあるのを見て、呼び鈴を押した
「あの、うちに何か…」
なずなが聞いた
祐平も一緒にいる
「ああ!良かった。君が祐平くんだね、で隣は双子のお姉さんか」
2人はうなずいた