暗闇の密林の中を慎重に進む


巨大な人型が四つ・・・


1体は右手に機関銃を持ち


右肩から上に棒が伸びている


1体はロケットランチャーを右肩に担ぎ


1体は背中から2本の銃身が空を向いていて


1体は頭の後ろにジラフのような首があった


彼らの頭部は円柱でその下に


丸い目のようなモノが2つ


円柱の中心には縦にスリットが入っていて


その中に長細い光沢の無い


プラスチックのようなモノがあり


その一部がたまに明滅している


「前方に移動目標確認 敵TMU 数4」


どうやらレーザー通信のようだ


4体の中で指揮官らしき人型


機関銃を持ったヤツが左腕を挙げて


部隊を止める


「左右のB、C分隊と連携して包囲殲滅をする


A分隊はこの位置で待ち伏せをする」


その指令に全機が膝を折って低姿勢を取る


1機はロケットランチャーを前方に構え


1機は背中の機関砲を水平位置に移動させる


よくよく見ると機関砲の側面と両腕に


ミサイルランチャーが付いている


ジラフの首を持つ機体は少し後方に退いた


彼はジラフの首にあるセンサーで


周囲の情報を得て、


各機にその地図を送信していた


指揮官機も機関銃を構え、


左腕のミサイルランチャーも前に突き出した


この時点で彼らには余裕があった


こちらが圧倒的に数的有利にあるし


相手はまだこちらに気付いていない


・・・と思っていた


突然 ジラフの首が折れた


同時に彼が全機に送信していた地図が消えた


それは暗闇で急に眼を塞がれたのと同じ事だ


即座に各機はそれぞれのセンサーに集中した


続けざまに周囲で8つの爆発が起こる


その炎で周囲が少し明るくなった


(我々は大部隊に囲まれているのか?)


指揮官はふっとそう思った


が、数分前までは周囲には


前方の4機以外に敵は無い事は確認済みだ


急に敵が大量に現れるなんてありえない


その時 暗闇を映す外部モニタに線が走った


それが何かは全く解らなかったが


とりあえず右腕の機関銃を前に出した


が・・・外部モニタに突き出された右腕が映らない


彼は外部モニタを旋回させて右腕の方に向けた


しかし 右腕は見えなかった


いや・・・右腕が無かった・・・


ふっと左前方にいたロケットランチャーを


担いだ人型を見ると


ナゼか腰から前にかがみ込んで動かない


右前方にいた機関砲を背負った人型は・・・


すでに仰向けに倒れていた


先ほどの爆発音以降 


大きな音はいっさい出ていないのに・・・


その時、急に視線が落ちた


とっさにフットペダルを踏むが前に動く気配は無い


そのまま衝撃と共に地面に落下した


数分の後に彼の機体のハッチは開けられ


敵軍の捕虜として連行された


外に出た彼はそこで初めて


無残に斬り刻まれた愛機を見る事が出来た