食堂の調理場を覗くと、

お皿を洗ってたおばさんに

「広瀬君?」

少し疲れた顔で私を呼んでいる。

以前働いていた、

修理工場の社長の奥さんでした。

「奥さん、お久しぶりです。」

私は社長の奥さんが

ここで働いていることを知っていたんですが、

実際に働いている姿を見ると、

とても心が苦しくなりました。

社長の奥さん 「広瀬君なに食べてるの?」

「ビール飲んでく?」

私 「いや、車だからいいです。」

社長の奥さん 「じゃあジュース飲む?」

私 「は、はい。じゃあウーロン茶ください。」

少しお互いの近況を話し、

ウーロン茶をもらって、

私はテーブルに戻りました。

時刻はもうすぐ夜の9時。

こんな遅くまで働いているなんて、

私は社長の奥さんが働いている姿が、

なんだか信じられませんでした。

そう、今から10年以上前、

私は今皿洗いをしている、

奥さんの自動車修理工場で働いていたんです。

10年以上前に...

大成3丁目264番地

今は駐車場になってます。

つづく