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税務調査110番!!肉体派税理士・渡邊勝也の税務調査対策blog

渡邊勝也(税理士・税務訴訟補佐人)が、税務調査を前提とした税務調査対策の情報を更新中

個人所得税の所得を減らす大きな要素として「青色専従者給与」があります。

 

実務的には、軽い気持ちで金額を決めている場合が多いですが、結構論点が多い「青色専従者給与」。

■青色事業専従者に支払われた「給与」であること。

(給与なので事業主の指揮命令下で、空間的拘束を受け、継続的に働いていないといけないことがポイントです)


青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。

 

1、青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。

(生計を一というのがポイント。一緒に住んでいなくても仕送りをしていれば適用可能性があります)

 

2、その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。

(14歳でも12月31日段階で15歳であれば大丈夫)

 

3、その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

(はやり「倍半基準」という考えがここにもあります。

税大ジャーナルの記事にも同様な基準例の記載があります。

「例えば、本来従事すべき時間の「最低50%程度」などと通達等で明記し、それに従って運用するのが適当であると思われる。」

https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/backnumber/journal/14/pdf/14_04.pdf

 

(税務調査の現場では、他に働いていると適用されないということを税務調査官から言われますが、「その職業に従事する時間が短い者その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者」であれば問題なといわれています)

 

■立証責任は納税者

通常の給与の立証責任は国税局側ですが、青色専従者給与は特別に認められた特典なので、立証責任は納税者にあります。

税務調査でこの立証責任がどちらにあるか大切な要素。

 

青色専従者給与に関する資料(タイムカード、働いたことを示す資料等)は、税務調査から逆算して作成しておいてくださいね。

 

 

調査結果の説明など、更正処分等の根拠となる証拠収集手続きに影響を及ぼさない税務調査手続きの違法は、課税処分の取消事由にならないと国税不服審判所が判断。

(平成27年5月26日裁決)

 

証拠収集手続自体に重大な違法がないのであれば、税務調査自体は有効とのこと。

 

税務調査開始の手続、終了の手続等がなくても、問題ないなんて、、、、

修正申告したら、原則、不服申立等が出来ないことを納税者は知っているのだろうか?

税理士が付かない納税者は本当に納得するのだろうか?

お互い税務調査のプロフェッショナルとして、そこは馴れ合いはよくない。

 

税務調査110番の使命は、「納得感」と「安心感」。

建設業の税務調査は相変わらず多いです。

そこで論点となるのは「給与と外注費」の区分です。

納税者は、消費税・源泉所得税の観点から「外注費」がありがたい、、、、

 

消費税基本通達1-1-1では、(1)~(4)の事項を総合勘案し、判定するとあります。

(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。

(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。

(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。

(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。 

 

事前対策としては、この内容の業務委託契約書を作成しておくことはとても大切なことです。

 

税務調査官から言われた後に作成したら仮装。

税務調査官から言われる前に作成したら事前対策。

国税不服裁判所の裁決事例は税務調査現場、実務で活用できる情報があります。

 

例えば、平成27年6月23日の棄却事案。

役員退職慰労金規定に基づいて支給されたか否かに関わらず、役員退職給与額に不相当に高額な部分の金額がある場合には、不相当な部分の金額は損金にされないという事案でした。

その中で学べることは、

■勤続年数

端数を切れ上げた年数

■功績倍率

・小数点第3位以下、四捨五入ではなく切り上げ

・最高値ではなく平均値

(正直、平均値であることに疑義はありますが、、、)

■類似業種

売上割合で判定する

■事業規模の類似性

売上金額の2倍から半分(倍半基準内)

■地域の類似性

納税地の同一県内

(インターネット販売していようが、多数の支店が大都市圏にあっても納税地)

 

一度否認されると、同業類似法人の選定は国税局が行うので、納税者が圧倒的に不利なります。

退職金は、税務インパクトが大きいので事前対策が大切ですね。

実務上、前期以前の経費の計上漏れを当期会計で「過年度損益修正損」で計上することがあります。

残念ながら、企業会計上広く行われていたとしても、公正処理基準(法人税法22条④)に該当せず、法人税の損金算入・消費税の仕入税額控除は認められません。

(東京地裁平成27年9月25日判決)

 

正しくは5年以内の計上漏れであれば更正の請求となります。

(↓更正の請求(法人税)の手続きはこちら)↓

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/kosei_proposal/tetsuzuki/02.htm

 

実務上難しいのは、僅少の金額の時の判断ですね、、、

否認されても「やむを得なし」と思える金額基準ですね。