財産隠しの手口 | 税務調査110番!!肉体派税理士・渡邊勝也の税務調査対策blog

税務調査110番!!肉体派税理士・渡邊勝也の税務調査対策blog

渡邊勝也(税理士・税務訴訟補佐人)が、税務調査を前提とした税務調査対策の情報を更新中

国税庁が報道関係者に配った資料で明らかにした申告漏れ事例をご紹介します。

【事例 海外資産関連事案】
相続人Aの父(被相続人)は、生前に海外の金融機関に多額の送金。
税務当局は、この事実を国外送金等調書で把握。
しかし、Aの申告書には、その送金に見合う海外資産が記載されていなかった。
調査段階でAから「海外資産など知らない」との回答を受けた税務当局は、海外の税務当局に対して、租税条約に基づく情報交換を要請。

海外にある金融機関に多額の預金と有価証券が存在することが発覚した。
Aは相続発生後、父名義の預金口座を自分名義の口座に移管する手続きをしていたうえ、現地で預金を引き出していたにも関わらず、相続税の申告から除外していたのだ。
申告漏れ課税価格は1億5千万円、加算税込みの追徴税額は6600万円となった。

 なお、類似の事例では、「自動的情報交換資料」で申告漏れが発覚したケースがある。
自動的情報交換資料とは、外国税務当局との間で毎年交換しているもので、非居住者への利子・配当などの支払いに関する数十万件単位の情報
税務当局はこの資料を使い、被相続人の生前に海外の金融機関から利子が支払われていたことを把握。
相続人は、意図的に所得税と相続税を適切に申告しなかったとして平成25年度に追徴を受けている。 

次回は、自動的情報交換資料についてお話しします。