今回は、「外国人投資家の動き」という切り口から、「円安・株高」に進んだ仕組みを見て行きたいと思います。「先物(さきもの)取引」という重要な知識が出てきます。ぜひご覧下さい。新聞を読む際、必ず出てきます。
投資家は、「金融緩和などにより円安が進む」と見ると、株高を予想して日本株を買います。(前回の復習です。)
日本株を今のうちに買い、もっと高くなってから売って、利益を出そうとの狙いです。
しかし、単純に「日本株を安く買って、将来高く売る」というだけでは、外国人投資家の場合為替で損をする可能性がありますよね。
どういうことか。
日本株の売買は、円で行われます。
しかし、外国人投資家は損益を外貨(ドル)で管理します。
今1,000円で買った株が、予想通り値上がりし3か月後に1,200円で売れた。つまり(単純計算すると)1株当たり200円の利益が出た。
しかし、株を売った際に、為替が今のまま1ドル100円か、1ドル120円かによって、ドルに戻した時の利益が変わってしまいますよね。
1ドル100円の方が嬉しいはずです。
1ドル120円だと嫌ですよね。
円安だと損をするのです。
初めに言ったことを思い出して下さい。
この投資家は、「円安→株高」を予想していました。
初めから円安を予想していたのに、せっかく株で儲けた利益が円安でみすみす減ってしまう。。
なんだかもったいないですね。
この為替での損(為替差損)を避けるにはどうしたら良いか。
「先物取引」というものがあります。
「将来の価格をあらかじめ予約しておく」取引です。
例えば今、3か月後の為替レートを1ドル100円、と予約しておけるのです。
外国人投資家の戦略を見てみましょう。
今、1,000円で株を買った。ついでに先物取引で1ドル100円で「円売りドル買い」の予約をしておく。つまり3か月後に100円を1ドルに替える、という約束をする。
その後予想通り株の価格が上がり、1,200円で売れた。利益は(単純計算すると)200円。
「3か月後に1ドルを100円に替える」という円の先物売り予約をしていたため、利益は200円×1/100=2ドル となります。
もし円安が進み、3か月後に、その時の為替レート(※)が1ドル120円になっていても、心配ありません。1ドル100円のレートで固定していますから。
逆に1ドル80円だったら、先物を使わなければ良かった、となりますけどね。
※その日のうちに円とドルを交換してしまう普通の為替を直物(じきもの)と言います。(実際には2日後の交換だったりもしますが。)
ともかく、「株を買うのと同時に、円の先物を売る」。
この組み合わせによって外国人投資家は円安の流れを気にしなくて良くなりましたね。純粋に株で勝負できることになりました。
さらに、話を進めます。
経済への影響を考えてみましょう。
今見てきたように、「株買い、円先物売り」の動きが生まれました。
すると、円の先物価格は下がりますね。("円の先物価格が下がる"とは100円→120円になることです。紛らわしいので注意して下さい。)
円の先物価格が下がるとどうなるか。
円の直物の価格もつられて下がります。交換の日が違うだけで、同じ円ですからね。
先物と直物の価格は連動するのです。
まとめます。
①「円安→株高」になる、と予想した外国人投資家が「日本株買い」に動く。だから株高となる。
②同時に、為替で損をしないために「円の先物売り(円をドルに替える予約)」をする。だから円の先物価格が下落する。
③円の先物価格が下落すると、普通の円の価格(直物価格)もつられて下落する。
こうして、「円安・株高」が同時に進むわけです。
ちなみに日本株売買の5割以上は外国人投資家によって行われています。
円安・株高を予想した外国人投資家の行動自体が、円安・株高を進める大きな力になるのですね。
いかがでしょうか。
先物取引、難しい所です。
実は随分単純化しましたが、今回は概念だけでも分かって頂ければ充分です。
今後は、新聞にも毎日出てくるこの「先物取引」の仕組みをもう少し詳しく解説していきます。