1ドル6.933ペソから1ドル7.901ペソまで、対ドルで14%も下落したのです。
なぜアルゼンチンペソが急落したのか。
他の通貨にどんな影響を与えたのか。
1月25日の日本経済新聞の記事を材料に解説していきたいと思います。
まずはタイトルをご覧下さい。
新興国通貨、揺れ再び
外貨準備不足 為替介入に限界
このタイトルだけを見て「ああ、そういうことか」と何が起こったか分かることが目標です。
さっそく記事本文を見ながら解説していきます。
新興国通貨が再び揺れている。
新興国通貨とは、アルゼンチンペソやトルコリラ、南アフリカランド等が挙げられます。
今年から米国の量的緩和の縮小が始まり、新興国から投資資金が流出するとの懸念が根底にある。
中央銀行が市場から国債やMBS(住宅ローン担保証券)を買い上げることで市場に出回るお金の量(=マネーサプライ)を増やすのが量的緩和。市場にお金がジャブジャブにあふれていれば、リスクの高い新興国にも投資マネーが向かうようになりますね。
しかし今は逆に「量的緩和の縮小」。国債やMBSの買い取り額を徐々に減らしていきますよ、ということです。投資家は慎重になりますよね(=リスクオフの流れ)。
リスクオフの流れの中では、リスクの高い新興国から投資マネーは引き揚げられていきます。
例えばアルゼンチンに投資していた米国の投資家は、アルゼンチンペソを安全なドルや円に戻そうとします。
つまり、「ドル(円)買いペソ売り」の流れができるということです。これはペソにとっては下落要因、ドルや円にとっては上昇要因ですね。
発端は23日に12%も急落したアルゼンチンペソ。
これは何と比べて12%と言っているか分かりませんが、対ドルでは最初に言ったように14%の下落です。
先進国からの投資マネーに頼っている新興国では、投資家の投資意欲(リスクオン/リスクオフ)によって、投資マネーが入ってきたり、出ていったり。つまりペソが買われたり、売られたりする。
為替が不安定になってしまいますね。
外貨準備の不足や経常収支の赤字など、通貨を防衛しづらい国の弱みを突く動きが、トルコリラなど他の新興国にも波及している。
不安定な為替を安定させるために新興国の中央銀行がとる行動は、「投資家の動きに合わせて自国の通貨を買ったり、売ったりすること」です。
確かに、たくさんの米国の投資家が「ドル買いペソ売り」に動けばペソ安につながりますが、同じだけの「ドル売りペソ買い」をするプレイヤーがいれば、需要と供給がつり合い、為替は大きく動きませんね。この役目を中央銀行が果たすということです。このような中央銀行による調整を「為替介入」と言います。記事で通貨の「防衛」と言っているのはこのことですね。
しかし今、その為替介入に限界が来ている。事実アルゼンチン中央銀行が「為替介入をやめる」という意向を示したことが、今回の急落の引き金でした。
先ほどの記事には2つの理由が挙げられています。
①外貨準備の不足
中央銀行がペソを支えるために「ドル売りペソ買い」をするには、ドルを持っていることが必要です。中央銀行の持っているドルなどの外貨を「外貨準備」と呼びますが、これが不足すると、いつまでも「ドル売りペソ買い」はできなくなりますね。
また野心的な投資家は、今回のように「為替介入が終わる」とみると、どんどんペソを売り始めます。
為替介入に限界が来て(=ペソを買い支えるための外貨準備が足りなくなって)政府が諦めると、買い手がいなくなってペソはどんどん下がりますね。
そうすると投資家は丸儲けです。高い時に売って、下がってから買い戻す。それを狙って売るのです。(★)
そしてこうした動きが今、アルゼンチンペソから始まり、トルコリラ、南アフリカランド等にも広がっている、ということでした。
では、新聞記事のタイトルをもう一度ご覧下さい。
新興国通貨、揺れ再び
外貨準備不足 為替介入に限界
いかがでしょうか。
タイトルがすんなりと理解できましたら、今回の私の目標は達成です。
最後に1つだけ。
★のような、投資家 vs 中央銀行 という戦いは歴史上何度も繰り返されてきました。
1992年のポンド危機然り、1997年のアジア通貨危機然り、2001年のアルゼンチン危機然りです。
投資家の売り、という攻撃を中央銀行が防衛する手段は、先ほどの例のように自国の通貨を買い支えるか、もう一つは自国通貨の金利を上げるか。
金利を上げれば、投資家はその通貨を預金すればたくさんお金が返ってきますから通貨の魅力が高くなり、過度に売られる心配は減ります。例えば今回ブラジルでは、ブラジルレアルの金利を上げていたことで、アルゼンチンペソのように売られまくることにはなりませんでした。
但し金利を上げるということは、借りる人にとってはお金が借り辛くなり、景気を悪くしてしまう危険性があります。
だから、「アルゼンチンも、これから金利を上げれば良いのでは」、などと安易に結論づけることはできないのですね。
①外貨準備の不足
中央銀行がペソを支えるために「ドル売りペソ買い」をするには、ドルを持っていることが必要です。中央銀行の持っているドルなどの外貨を「外貨準備」と呼びますが、これが不足すると、いつまでも「ドル売りペソ買い」はできなくなりますね。
今アルゼンチンはまさにこういう状態なのです。
②経常収支の赤字
経常収支とは主に、「貿易収支+サービス収支+所得収支」です。最後の所得収支とは、海外に投資して返ってくる利息や、株の配当のことです。
ともかく、国全体での経常収支が赤字。赤字分を海外へ支払うためには、ドル等の外貨が必要です。「ドル買いペソ売り」をしなければならない。ペソの下落圧力が強まってしまいますね。
こうした理由で、為替介入に少しずつ限界が近づいているのです。
②経常収支の赤字
経常収支とは主に、「貿易収支+サービス収支+所得収支」です。最後の所得収支とは、海外に投資して返ってくる利息や、株の配当のことです。
ともかく、国全体での経常収支が赤字。赤字分を海外へ支払うためには、ドル等の外貨が必要です。「ドル買いペソ売り」をしなければならない。ペソの下落圧力が強まってしまいますね。
こうした理由で、為替介入に少しずつ限界が近づいているのです。
中央銀行が為替介入をやめてしまうと、ペソが一気に暴落しますね。投資家はそうなる前に資金を引き揚げようとして、「ドル買いペソ売り」や「円買いペソ売り」に走ります。ドルや円を持っていた方がペソより安定していて安全だからです。そのリスクオフの動き自体がペソ下落を後押しします。
また野心的な投資家は、今回のように「為替介入が終わる」とみると、どんどんペソを売り始めます。
為替介入に限界が来て(=ペソを買い支えるための外貨準備が足りなくなって)政府が諦めると、買い手がいなくなってペソはどんどん下がりますね。
そうすると投資家は丸儲けです。高い時に売って、下がってから買い戻す。それを狙って売るのです。(★)
そしてこうした動きが今、アルゼンチンペソから始まり、トルコリラ、南アフリカランド等にも広がっている、ということでした。
では、新聞記事のタイトルをもう一度ご覧下さい。
新興国通貨、揺れ再び
外貨準備不足 為替介入に限界
いかがでしょうか。
タイトルがすんなりと理解できましたら、今回の私の目標は達成です。
最後に1つだけ。
★のような、投資家 vs 中央銀行 という戦いは歴史上何度も繰り返されてきました。
1992年のポンド危機然り、1997年のアジア通貨危機然り、2001年のアルゼンチン危機然りです。
投資家の売り、という攻撃を中央銀行が防衛する手段は、先ほどの例のように自国の通貨を買い支えるか、もう一つは自国通貨の金利を上げるか。
金利を上げれば、投資家はその通貨を預金すればたくさんお金が返ってきますから通貨の魅力が高くなり、過度に売られる心配は減ります。例えば今回ブラジルでは、ブラジルレアルの金利を上げていたことで、アルゼンチンペソのように売られまくることにはなりませんでした。
但し金利を上げるということは、借りる人にとってはお金が借り辛くなり、景気を悪くしてしまう危険性があります。
だから、「アルゼンチンも、これから金利を上げれば良いのでは」、などと安易に結論づけることはできないのですね。