ニッシーからの着信にすぐに私は出た。

 

「どうだった?ひーくん(砂川)大丈夫だった?」

 

「あおい、お前ちゃんと全部知りたいか?」

 

「どういうこと?当たり前じゃん」

 

「だいぶ覚悟しといたほうがいいぞ」

 

ニッシーはすごく言い辛そうに私に話す。

事故か、事件か・・・なんだホントに。

早く詳細を聞きたい私の気持ちをまずは落ち着かせようとする。

そして電話をなぜか同僚(ニッシー現妻)に変わった。

 

「あおい?今さ、うちにニッシー来てるんだ。電話より直接のほうがいいと思う、来れる?」

 

「すぐ行くよ、待ってて」

 

私はすぐに同僚の家へ向かった。

覚悟?どういうこと?

まさか死んだ?

いやいや・・・落ち着こう・・・

同僚の家までは車で10分。

トップに買ってもらった車で急ぐ私。

 

同僚の家に着き、マンションのエレベーターに乗る。

よほど焦っていたのか、降りる階を間違えた。

気持ちを落ち着かせチャイムを鳴らすと、同僚が迎えてくれた。

 

奥の部屋に行くと、ニッシーがくつろいだ姿で座っているが、明らかに顔が気まずい雰囲気。

 

「よう」

 

「うん、ごめんね遅くに・・・いろいろとありがとう」

 

「いや、大丈夫」

 

その場に座った私に同僚がお茶をだしてくれた。

 

「で、本人と連絡着いたんだよね?」

 

「ああ、話したよ。あおいの為に今から話すからな?ちゃんと受け止めろよ」

 

「うん・・・」

 

「あいつ、最悪だわ。最悪だから、そんなヤツの為にあおいが縛られてるのが我慢ならん」

 

「どういうこと?」

 

「結論から言うけどな、もう新しい女いるよ」

 

私は一気に頭が真っ白になった。

言葉も出なかった。

まさか、考えもしていない言葉だった。

最悪でも、奥さんにバレて連絡出来なくなったくらいにしか予想をしていなかった。

 

何も言えない私にニッシーが声をかける。

私はガタガタ震えていた。

 

「大丈夫か??落ち着け」

 

「だ・・・大丈夫、うん・・・ちょっと想像と違ってびっくりして・・・」

 

同僚が隣で背中をさすってくれた。

 

「うん、大丈夫・・・ちゃんと聞く」

 

「よし、話すからな」

 

そう言ってニッシーは話し出した。

その内容は、今思い出してもプライドをズタボロにされ、トラウマになってることだ。

 

ニッシーが言うにはこういった内容だった。

 

電話に出た砂川。

ニッシーから私が連絡がつかない事を言われると、私の事ははぐらかしたそうだ。

様子がおかしいと思ったニッシーは突っ込んで聞いてくれ、本当の事を言え、と説得した。

それでも砂川は本当の事を言わない。

いい加減ニッシーも頭に来たらしく、砂川を怒鳴った。