登録型派遣労働者のキャリア形成の可能性を考える   | ワークライフバランス経営サポートセンター

登録型派遣労働者のキャリア形成の可能性を考える  

独立行政法人労働政策研究・研修機構の小野晶子研究員の貴重な論文が発表されたのでここにご紹介しておきたいと思います。


派遣労働者のキャリア形成の可能性について考えるというテーマでありますが、これまでもさまざまなキャリア形成について研究してきており、今回の論文は、専門家にとってはとても楽しみでした。



全論文PDF


サイトには、要旨がまとめられていますのでこちらをどうぞ。


本論文は、先行調査、先行研究のサーベイと派遣会社3社の聞きとり調査から、事務系と製造系で働く登録型派遣労働者のキャリア形成の可能性を考察したものです。



ここでいうキャリア形成とは、仕事における能力・技能の向上が賃金の上昇を伴うことを前提としており、先行研究から技術系常用型派遣労働においてはキャリア形成の可能性は十分にあることがわかっています。その一方で、事務系や製造系の登録型派遣労働において、キャリアを形成することが難しいことが先行研究および聞きとり調査から明らかになりました。



派遣労働において、キャリアを形成する方法は2つ考えられます。1つは、派遣先を移動しながらキャリアを積んでいく方法、もう1つは、同一の派遣先において能力や技能を高めてキャリアを積む方法です。 聞きとり調査からは、いずれの方法についてもケースを確認できたものの、基本的には派遣先のオーダーや意思が優先されるため、必ずしも派遣労働者の希望通りにはいかないことが現状であることがわかりました。 また、長期に渡ってキャリアを積むには年齢の上昇が障壁となる現実があることも明らかとなりました。現状の登録型派遣労働の労働市場においては、労働者個人が高いキャリア意識を持って主導的に動き、年齢が上昇するに従って、資格や専門的な能力やスキルを要する仕事に従事したとしても、キャリア形成には限界があると考えられます。


(引用ここまで)


現状の登録型派遣労働のキャリア形成の限界を証明するような形となったのですが、確かに例えば財務・経理の仕事といっても、年齢の問題、そして企業側のニーズの問題、派遣の人に任せられる仕事の範囲などいろいろ制約がでてしまうのかもしれません。


仮に実際そうではないとしても結局、調査結果から導き出されているということもあります。確かに一番いいのは、同じ派遣先の中でスキルアップしていくことなのですが、オーダーが急になくなってしまえばそれで終わりになってしまうというまったくの外部環境に影響されるということがある以上、やはり難しいのかもしれません。


そうはいってもできないことはないと思いますし、必要な専門能力とパフォーマンスを発揮する力を徐々につけていけば何とか道は開けると思います。


ぜひお時間のある方は論文を全部読んでみてもらえると嬉しいです。