「こんなにいっぱいあるんですねー」
たくさんの古本が置いてある。周りはちょっとホコリっぽくて
少し咳き込んだ。ほとんど明かりがなくて、だから外の光が入ってくると
眩しくて目をそらす。
「私も久しぶりなんで・・ちょっと驚きましたね。」
そう言いながら、少しうつむいて、また笑った。
木本幸子(きもと こうこ)さん。
うちの親戚の親戚のまた親戚のもはや関係ない人。
初めてさっき(30分前)に会って、昔から貴方と会いたかったとか言われて
ここに連れてこられた。
「この古本の倉庫は幸子さんのモノなんですよね?」
「違うわ、こんな大きな建物・・これはお父様のものよ、昔この近くの酒場のチラシで見つけて無理やりお父様が買い付けたとか」
「はぁ…」
私は自分の事をお父様などと呼ぶ人に初めて会った。
昔から私は父親の事を”父さん”と呼んでいたし、父親も私の事は”サユ子”と呼んでいた。
普通の家に生まれて、27年間育てられてきて、一番の好物が卵ご飯だった。
あと母親の作る特製プリンだ。
普通に大学にも行かず、高校卒業後、東京に行きたいと言い、それを反対され
1週間だけ家出した。
私は何も成長していない。
喧嘩をして、親を困らして、わがままで、結局何もない普通の人間で。
こんな平凡なサユ子という女に、会いたかったわ!みたいなお嬢様口調で近づいてきて
一体何が目的なんだろう。
どうやら幸子さんとか言う人は私の事を”お父様”から聞かされていて
すごくあこがれていた人だったから、ずっと会いたかったとかなんとか。
そのお父様とやらは、一体何を幸子さんに話したんだろうか。
もしかしたら、手作りプリンを食べれる事が羨ましかった、とか
普通の家庭に生まれている事が羨ましいとか、そういう系なのかな。
思い当たる節が無さ過ぎる。
だって私は今まで普通に生きてきたただの人間なんだから。
この人の服装は、もはやコスプレに見える。
黒のレースと白のレースが一緒になった、なんというお姫様系のドレスに身を包み
私に笑いかけてくる。
この人と親戚だったなら、もっとお金持ちだったと思うし
27年間生きてきて、一回はハワイ旅行に行けてたはずだ。
時々各国の有名料理を食べに行ったり、こんなド派手なコスプレ風ドレスを着たりだとか。
この人、本当に何者だ。
なんか怖くなってきたぞ。
「サユ子さん?大丈夫かしら。顔色悪いみたいだけど・・・」
「あ、いや・・・だ、大丈夫ですよ」
「そう、具合悪くなったら執事にベンツで迎えに来てもらうから安心してね」
「あ・・・はい」
酒場でチラシを見て、ああ!なんて素敵な建物なんだ!よし買おう!
こんな風に”お父様”は言ったのかな。
というか疑問が一つ。
いや五つ。
私はなぜここに連れて来られている?
そして幸子さんと私は親戚なのか?
よく分からないけど早く帰らせてほしい。
古本の山に囲まれて、なんだか背中が痒くなってきた
あ・・
「幸子さん!」
「え?」
大きな声で叫びすぎたかもしれない。
私の声が3重に聞こえた。
幸子さん、幸せの子。なんていい名前。
「私が、その、あの・・関係あるかとか、よく分からないんですけど、用がないなら私帰ります!」
「あら、お気に召さなかったかしら。ここの建物、あなたの物にしようかと思いましてね」
は、は・・・
「あ?」
「え・・」
思わず「あ?」と言ってしまった。
不良の喧嘩じゃあるまいし。
ていうかこのホコリっぽい大きな建物
(東京ドームの半分ぐらいありそう)
あげるとか、よく分かりません。
誰かタスケテ。
続く
たくさんの古本が置いてある。周りはちょっとホコリっぽくて
少し咳き込んだ。ほとんど明かりがなくて、だから外の光が入ってくると
眩しくて目をそらす。
「私も久しぶりなんで・・ちょっと驚きましたね。」
そう言いながら、少しうつむいて、また笑った。
木本幸子(きもと こうこ)さん。
うちの親戚の親戚のまた親戚のもはや関係ない人。
初めてさっき(30分前)に会って、昔から貴方と会いたかったとか言われて
ここに連れてこられた。
「この古本の倉庫は幸子さんのモノなんですよね?」
「違うわ、こんな大きな建物・・これはお父様のものよ、昔この近くの酒場のチラシで見つけて無理やりお父様が買い付けたとか」
「はぁ…」
私は自分の事をお父様などと呼ぶ人に初めて会った。
昔から私は父親の事を”父さん”と呼んでいたし、父親も私の事は”サユ子”と呼んでいた。
普通の家に生まれて、27年間育てられてきて、一番の好物が卵ご飯だった。
あと母親の作る特製プリンだ。
普通に大学にも行かず、高校卒業後、東京に行きたいと言い、それを反対され
1週間だけ家出した。
私は何も成長していない。
喧嘩をして、親を困らして、わがままで、結局何もない普通の人間で。
こんな平凡なサユ子という女に、会いたかったわ!みたいなお嬢様口調で近づいてきて
一体何が目的なんだろう。
どうやら幸子さんとか言う人は私の事を”お父様”から聞かされていて
すごくあこがれていた人だったから、ずっと会いたかったとかなんとか。
そのお父様とやらは、一体何を幸子さんに話したんだろうか。
もしかしたら、手作りプリンを食べれる事が羨ましかった、とか
普通の家庭に生まれている事が羨ましいとか、そういう系なのかな。
思い当たる節が無さ過ぎる。
だって私は今まで普通に生きてきたただの人間なんだから。
この人の服装は、もはやコスプレに見える。
黒のレースと白のレースが一緒になった、なんというお姫様系のドレスに身を包み
私に笑いかけてくる。
この人と親戚だったなら、もっとお金持ちだったと思うし
27年間生きてきて、一回はハワイ旅行に行けてたはずだ。
時々各国の有名料理を食べに行ったり、こんなド派手なコスプレ風ドレスを着たりだとか。
この人、本当に何者だ。
なんか怖くなってきたぞ。
「サユ子さん?大丈夫かしら。顔色悪いみたいだけど・・・」
「あ、いや・・・だ、大丈夫ですよ」
「そう、具合悪くなったら執事にベンツで迎えに来てもらうから安心してね」
「あ・・・はい」
酒場でチラシを見て、ああ!なんて素敵な建物なんだ!よし買おう!
こんな風に”お父様”は言ったのかな。
というか疑問が一つ。
いや五つ。
私はなぜここに連れて来られている?
そして幸子さんと私は親戚なのか?
よく分からないけど早く帰らせてほしい。
古本の山に囲まれて、なんだか背中が痒くなってきた
あ・・
「幸子さん!」
「え?」
大きな声で叫びすぎたかもしれない。
私の声が3重に聞こえた。
幸子さん、幸せの子。なんていい名前。
「私が、その、あの・・関係あるかとか、よく分からないんですけど、用がないなら私帰ります!」
「あら、お気に召さなかったかしら。ここの建物、あなたの物にしようかと思いましてね」
は、は・・・
「あ?」
「え・・」
思わず「あ?」と言ってしまった。
不良の喧嘩じゃあるまいし。
ていうかこのホコリっぽい大きな建物
(東京ドームの半分ぐらいありそう)
あげるとか、よく分かりません。
誰かタスケテ。
続く


