日テレでは、2024年4月21日に放送された30分の番組。

羽生結弦 アイスショー舞台裏密着!~満天の星に込めた“思い”~

 

 

 

 

ミヤギテレビでは、ようやく5月4日に放送されました。

 

 

 

 

その他の地域でも放送されたところがありました。

ゴールデンウイーク中ということで、より多くの方の目に留まっていたら嬉しいですね。

 

遅ればせながら、番組の流れと個人的な感想を記します。

※羽生選手の発言はH、宮野真守さんのナレーションはM、私の感想は()で記します。

 

 

 

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M)競技会から舞台を移して2年。プロスケーターとなった羽生結弦の特別な一日が始まろうとしていた。ある意味で競技よりも過酷な一日だ。

誰もが知るオリンピック二連覇の快挙。その影に自らも被災した東日本大震災の記憶がある。だから今。

 

H)このショーのコンセプトの一番のテーマは「希望」なので、僕たちスケーターから少しでも多くの「希望」が届くようにという想いを込めながら、祈りながら滑りたい。

 

M)今年3月。宮城で開催されたアイスショー「notte stellata」。彼は3つのパフォーマンスを披露した。中には大地真央を迎えた斬新な挑戦。羽生結弦 アイスショー舞台裏 満天の星に込めた思い。

 

(日テレでは「職業 羽生結弦』の矜持」でもナレーションを務められた宮野さんの、比較的言葉数少ない説明がよくマッチしています)

 

 

 

 

 

M)13年前のあの日。16歳だった羽生は仙台のリンクで練習に励んでいた。避難所に逃れ眠れずに過ごした夜を鮮明に覚えている。

 

H)僕らは真っ暗な状態で、全然立ち直れなかったにもかかわらず、星がすごい輝いていた。希望の光じゃないですけど。

 

M)停電で漆黒の闇の飲まれた街の空には、しかし、無数の星が瞬いていた。

今年3月宮城で開かれたアイスショー「notte stellata」は、イタリア語で「満天の星」。あの夜感じた希望をわかちあいたい。

 

H)東日本大震災に寄り添ったプログラムにもなっているので、3月11日に向けての開催っていうのは、すごく僕にとっては意味の大きなものになっています。

 

ノッテ・ステラータ

 

M)オープニングは羽生を代表するプログラムでもある「ノッテ・ステラータ」。星降る夜に真っすぐな愛を歌う曲によって演技が始まった。

 

(日本語で歌詞の字幕が入ったのは初めて見ました。

指の先まで羽生選手の繊細な動き、柔らかく優しく、しっとりと優雅なのに内なる情熱を感じさせる一曲。見る度に進化していることを目の当たりにします)

 

 

M)プロになり、羽生結弦は進化を続けていた。彼のメッセージに共感し、リンクにはトップスケーターたちが集っている。

そのとき羽生自身は、会場に併設されたジムへと急いでいた。たった今、全力を出し切ったばかりだというのに。この日の出番はあと2回。羽生によれば、ベストパフォーマンスを短時間繰り返すには、合間のトレーニングが欠かせないという。

例えば、座って筋肉を弛緩させた状態からの三回転半ジャンプは、瞬発力を鍛えるため

一日1回の演技で勝負する競技会よりも、はるかにハードな準備が必要だった。

 

H)来てくださっている(観客)の皆さんは一期一会でしかないし、その瞬間に一番いいパフォーマンスをやっぱり見せたい。

 

M)「notte stellata」のリンクには元世界チャンピオン・スペインのハビエル・フェルナンデス、オリンピックの団体メダリスト・アメリカのジェイソン・ブラウン、世界選手権のメダリスト・宮原知子などが花を添えた。

 

続いて、今回の大きな見せ場。スペシャルゲストとのコラボレーションが幕を開ける。

 

 

M)去年12月。スペシャルゲスト大地真央と初顔合わせ。宝塚の元トップスターを迎えてかつてないコラボレーションが用意された。羽生にとっても一つの挑戦。大地に期待するものは大きい。

 

H)たぶん、僕がしたいようにするとすごくフィギュアに寄っちゃうんですよ。

大地さん)それダメなんですか?

H)せっかくのコラボだからこその異色感は出したい。

大地さん)え、「こういう羽生君?」って演技している感じ?

H)そんな感じにしたいんですよね。演技っていうことに関しては結構未熟だと僕は思っているんです。

 

M)二人で描くのは、抗うことのできない“運命に翻弄される青年”と“運命の女神”の物語。そこに一筋の希望を表現する。

 

(大地さんを迎えたからには、それに恥じないよう新しいことに挑戦しようという、羽生選手なりのリスペクトだと思いますし、観客をどうやって楽しませようかという座長の意気込みも感じます)

 

 

 

 

 

カルミナ・ブラーナ」開演

 

M)大地真央が演じる女神フォルトゥーナは人類の運命を支配している。そこに現れるのが無垢な若者。春の森で若者は咲き誇る花と戯れる。彼はまだ、忍び寄る運命の影に気づいてもいない。世界はどこまでも美しく、光に満ちていた。

幸福を謳歌する若者の背後で、運命の輪はひそやかに回り始める。

やがて降りかかる最悪。天災や戦争、若者は苦しみにあえいでいる。運命を操る女神からは決して逃れられない。若者はついに運命の呪縛に捉えられてしまった。

だが、彼が運命を受け入れるとき、初めて光が差してくる。そこに希望が生まれるのだと若者を導いたのは、他ならぬ運命の女神だった。

割れんばかりの拍手が降り注ぐ。

 

(登場したときに衣装がいつもよりボテッと見えたのは2枚着用していたから。

バレエ経験のない羽生選手なのに、前半のバレエの動きは音とバッチリあって、人生の幸福を謳歌しているという軽やかな動き。

それに対して最悪が降りかかった時、羽生選手の表情ひとつとっても全く状況が異なることがわかります。この苦しさを味わう様はまるで羽生選手が震災を経験したそのもの。しかも逃れようとしているのに、足取りがとても重く見えます。

私はショーの3日間ともロングサイドの席だったので、若者と女神の位置を重ねて見える正面からは見ることができませんでした。しかし、あとから映像で見ると、女神に操られている動きがとてもよくわかります。ほんのワンテンポだけ羽生選手のほうが遅れて見えるんですよね。運命を受け入れたあとは、強さを身に付けた表情に見えてきます。

この楽曲は、羽生選手が競技時代に滑ってほしいと願っていたファンも多かったです。このような形で、プロとなって技術も表現もレベルアップした状態で、満を持して見ることができて、むしろタイミングが良かったと思います。

もちろんスタンディングオベーション!)

 

 

舞台裏で

大地さん)もう!羽生さん素晴らしすぎる。ありがとうございました。

H)こっからも頑張ります。

 

(大女優である大地さんが、素で感動されている様子。共演されていても羽生選手の演技は圧巻だったのですね。大地さんの女神の存在感があるからこそだと思います)

 

 

M)羽生は再びジムに向かった。最後のプログラムを前にもう一度全身に刺激を与え、コンディションを整える。スケートへの鬼気迫るような向き合い方。リンクで魅せる美しさは技術と鍛錬の賜物に他ならない。

 

(ジムでの様子が2回登場するので、この番組で最も強烈な2シーンですね。

まさに湖面に浮かぶ白鳥。見えている部分はとても優雅に、しかし見えていない部分での激しいほどの準備と努力。

最初は次の曲の衣装を着た上で、次はヘアセットをした上で。そんな「間もなく出番です」の直前に、最高のパフォーマンスのためにこんなにも自分に鞭を打っているなんて。チラッと見える脚や首の筋肉が物語っていますね。

親しいスケーターが集まっているにも関わらず、決して舞台裏でワチャワチャせず、真剣勝負をされるなんて。羽生選手、チケット安くないですか?)

 

 

M)この日のために練り上げた新作品。全神経を集中させていた。

 

ダニー・ボーイ

 

初めて披露するプログラム。ダニー・ボーイ。今回の会場は、震災直後は遺体安置所だった。だからこそ、深い悲しみに覆われた過去から、現在、そして未来へと希望を発信続けていきたい。純白の衣装に身を包んだ羽生は、己の肉体を完璧にコントロールしていた。

 

H)震災の前の町並みだったりとかあ、その前の生活だったりとか、あの震災が起きる前の時間に戻れなくて、それを経験した今があるから、未来に向けて考えることができて。

 

M)震災直後は、スケートを続けることに葛藤があったという。けれど、自分のスケートが誰かの笑顔のきっかけになっていることを知った。だから、これまでやってこられた。

 

H)皆さんの中に、一瞬だけでも綺麗だなとかだけでもいいし、記憶を色々考えたりとか、それが希望に変わったりとか、そういう瞬間になればいいな。

 

(この真っ白な衣装が暗転で見えた時、初見で「なんてスタイルが良いのだろう」と改めて思いました。どんな悲しみにさえも染まらず、純真のまま生きようというメッセージなのか。

しかも「ダニーボーイ」星野源さんからキース・ジャレットのピアノでとのリクエストがここで実現とは、驚きました。

辛さの中で激しい動きが無い分、ゆったりと、しかし確実に希望へ導く様子。演技が終わったときに汗びっしょりの羽生選手には、このプログラムへの厳しいまでのコントロールされた様が伝わってきます。あのヒラヒラは、とてもジャンプが飛びづらいはずなのに。今後ももっと見たいと思わせるプログラムです。でも、この場所でこのショーだからなのか。

心の中で大泣きしました。

RE_PRAY」ツアーの合間にも関わらず、新しい2つのプログラムも完成度が高いので、ただただ驚くのと感謝しかありません。)

 

M)三つのプログラム全てが、圧倒的な完成度だった。

スケートで少しでも誰かの笑顔にできるのなら、どこまでもこの道を進む。羽生結弦の現在地だ。

 

(総じて、このたった30分の中で、羽生選手の3つのプログラムを全て見せていただきながら、大切なメッセージもしっかりと網羅していました。

そして、何より羽生選手のスケートとの向き合い方が想像以上にハイレベルで、それは全て観客のためだということも伝わってきました。

だから、より一層、下世話なでっち上げや中傷誹謗などで苦しめてほしくない。そんな存在ではないのです。

一アスリートとして、一アーティストとして、常にストイックで真剣勝負だということを、深く深く追求する人だと改めて痛感しました。ありがとうございます。)

 

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5月6日にはnewsevery.内で特集があるようですが、またしても宮城県内(ミヤギテレビ)ではタイムリーに見ることができない様子。

 

 

 

 

 

 

YouTube配信はもちろんありがたいのですが、なぜに開催地の宮城県内では放送されないのでしょうか。さびしいですね。

動画を見ることができない方もいますので、願わくばあとで「notte stellata」関連をひとまとめに放送していただきたいです。