地上波で羽生結弦選手のスケートが!!

 

ということで、たいへん遅くなりましたが、

 

NNNドキュメント'23 「職業 羽生結弦」の矜持 について。

2023年11月12日に日テレ系で放送されました(再放送は、2023年11月19日BS日テレ)

 

 

 

 

2022年7月、27歳で競技生活を終えた羽生結弦に密着。23歳で五輪連覇を果たし、若くしてフィギュアスケート界で頂点を極め、歴史を塗り替えた羽生は、プロ転向後も東京ドームでの単独公演を成功させるなど華々しい活躍を続けている。不安と向き合いながら、規格外の道を切り開く、“職業・羽生結弦”の矜持に迫る。

 

 

 

 

改めて、30分の番組を振り返ります。

以下、

・太文字は羽生選手の言葉。

・カッコ内は字幕、もしくはナレーション宮野真守さんの言葉です。

 

 

 

(2023年7月18日 仙台市、羽生結弦がプロに転向して一年がたとうとしていた。

~練習風景の映像~

競技時代と同じ緊張感。追求するのは最高の自分。

3アクセル、4トゥループ、4サルコウ、4トゥループ、4サルコウ+3トゥループ・・・

通常プロになると表現を重視し、4回転をなくなる。

しかし、羽生は世界のトップ選手でも難しい4回転を次々と挑んでいた。飛び続けていて既に50分。自分自身との闘い。

~BGMは「エストポリス伝記II」、「僕のこと」、「序奏とロンド・カプリチオーソ」など~

練習が終わるころにはいつも動けなくなる。)

 

(練習の)強度的にはやっぱり競技をやっていた頃よりも高いなって思いますし、本当に大変になったなあとは思っています。

こういう練習をしているといつ壊れてもおかしくないので、でも本当にギリギリの練習をしないと上手くなれないっていうのもわかりますし、いや~、緊張するんですよ、毎日。怪我するかしないかの闘いなんで。

 

(プロになった今も、競技時代よりもきつい練習をつんでいる。

19歳、羽生はオリンピックで金メダルを獲得。日本男子として初めての快挙だった。「(メダルは)まるいですね(笑)」

23歳、平昌ではオリンピック66年ぶりの連覇。すべてはスケートのために。常に自らに挑んてきた。

スケート界の歴史を塗り替えてきた希代のスーパースターは、2022年プロに転向。その決断に揺れる思いもあった)

 

羽生結弦選手から羽生結弦さんに変わった時に、終わっちゃったんだねって思われたくないっていうか、すごく怖かったんですよ。僕は。

 

(プロとしての更なる高みへ。28歳。職業・羽生結弦の矜持とは。

2022年7月19日羽生が競技生活にピリオドを打った。会見で現役引退ではない。そう強調した。

全然終わらないので。引退でも何でもないので。こっから更に上手くなるし、更に見る価値があるなと思ってもらえるような演技をするために努力していくので

アイスショーの世界で、プロとして更に高みを目指す。

しかしその翌週、思いがけない言葉が)

 

アマチュアのアスリートとして一回区切りをつけることをやってしまった時に、ああ、もう応援してもらえなくなるかもしれないなっていう気持ちは正直あって。

先が見えないっていうか、すごく怖いものが正直あって。

 

(プロ転向への不安、そして恐怖)

 

“競技者としての羽生結弦が好き”っていう方もやっぱりいらっしゃいますし、緊張感とギリギリの難易度のところでやっているからこそ出る一緒に戦っている感覚だったりとか、そういうものがやっぱり競技ならではの感覚でそれが好きって言ってくださってる方々がたくさんいらっしゃったので・・・

 

(心には消せない傷もあった。

2022年2月北京五輪。三度目の大舞台、3つ目の金メダルを期待されていた。

ショートプログラム、得意の4回転ジャンプで異変は起きた。リンクの溝にスケート靴のブレードがはまり、金メダルの道はほぼ閉ざされた。それでもフリーでは前人未到の超大技4回転半を跳びに行った。4位。納得のいく結果ではなかった。

北京でのインタビュー「いやもう、一生懸命頑張りました。正直これ以上ないくらいがんばったと思います。報われない努力だったかもしれないけれど・・・」)

 

自分が夢だと思ってやっていたものが崩れてしまって、正直もう言葉に表せないほどの悔しさしかなかったんですよ、あの時。積み上げてきたものはすべて無駄だったのかな?と正直その時思ったんですよ。

もうなんか踏んだり蹴ったりすぎて、なんか辛いとか通り越して、なんでここにいるんだろうぐらいな気持ちでいましたし。

 

(そんな羽生のスケートは多くの人々に響いていた。「こんなに報われた選手はいない」恩師からそう言われた)

 

報われてないよって思いつつも、納得はできてないんだけれども、“これから報われるように”しないとなあって。叶わなかった夢が詰まったプログラムに対して、あれが綺麗だったと言ってもらえるんだったら、やっぱり努力を続けて頑張りたいなって思いました。

 

(目標は決まった。

これは、羽生の練習メモ。さらなる進化を目指し練習メニューを自ら作成。毎日体調や疲労などを数値化してチェック。 体調3,疲労3,足首2,腰3)

 

疲労3 体長3 まあ普通って感じ。普通にダル重いって感じですかね。(笑)

 

(週2回の瞬発系の練習では、4回転と3アクセルを7セット繰り返す。その後、全力のステップで追い打ちをかける。競技時代よりもハードだ。

練習メモにある「レペティショントレーニング」とは:一定の時間を全力に近いペースで行い、休憩を挟む。再び全力→休憩を繰り返す練習方法。)

 

強度上がってるのと、常に自分が120%の練習をしなきゃいけない。120%の練習をして、その20%の余剰分が次の日の105%を出せる。

 

(2022年11月横浜「プロローグ」。羽生はプロ転向後初めてのアイスショーをスタート。なんと!単独での公演、異例の挑戦だった。

2022年2月東京ドーム「GIFT」。これまでにない大掛かりな演出。羽生はたった一人で2時間滑り切った。表現に力を入れた。だがジャンプにも妥協しない。

アイスショーでは異例の4回転など高難度のジャンプを組み込んだ。

2023年3月宮城「羽生結弦notte stellata」。体操界のレジェンド内村航平との共演。これも日本で初めて。誰も歩んだことの無い道。だから職業は羽生結弦だ)

 

僕にしかできないことをする。

アスリートであり、アーティストであって、エンターテインメントでもある。そこの極地みたいなところにフィギュアスケートというものを使っていこうとしている。

 

(一方、スケート外の表現も挑戦した。

2023年夏、グッチ銀座ギャラリー。ハイブランドGUCCIの世界観を表現。

世界的なファッション雑誌「エル・ジャポン」で大きく特集された。

職業・羽生結弦とは。

2023年7月下旬。仙台市。私たちは羽生の一日に密着した。

午前10時過ぎ、大勢の人々と作品を作り続けるうち、羽生の意識にある変化が。

“素材”として頑張ります

自分は素材。それは今までとは違う羽生の姿だった。

西川株式会社のCM撮影、今回のテーマは「休息」。

午後4時頃、スチール撮影

素材としての自分はどう見えているのか、意識して撮影に臨む。

午後6時半頃、約8時間に及ぶ撮影が終わった。外はすっかり夕暮れ、さすがに疲れがたまる。だが)

 

一回リセットして、ちょっとだけ寝てまた練習頑張ってきます。

キツいですけど滑らないとどんどん劣化していくので、マイナスになっていってしまうのはなんとか防がなきゃいけなくて、練習しないとまた次のショーに間に合わなかったら嫌なんで頑張ります。

 

(時刻は既に6時半。このあとわずかな仮眠をとり、スケートの練習をする。ここからが職業・羽生結弦を追求する時間だ。

8時間のCM撮影を終えたその夜、羽生はスケートリンクへ。

この日は単独アイスショーのための練習。2時間のショーの本番と同じ流れで演技していく。

平昌五輪のSP「バラード第一番」大技4回転。4トウループ+3トウループ。金メダルをとった高難度な構成。

滑り終わるとリンクサイドへ。靴を脱ぐ。曲ごとに衣装を変えるシミュレーションだ。再び靴を履くとすぐに出番。

次は北京のSP「序奏とロンド・カプリチオーソ」4回転は2本組み込まれている。4サルコウ、さすがに足に来る。4トウループ+3トウループ、それでも難度は落とさない。

着替えてすぐ次へ。

レット・ミー・エンターテイン・ユー」これも競技時代のプログラム。

滑り初めて既に50分ほど。次の出番まではわずか5分。

阿修羅ちゃん」曲が始まると疲れは一切見せない。自ら振り付けとしたプログラム。激しいダンスが見せ場だ。

すぐに競技プラグラム。「オペラ座の怪人」ジャンプが多い曲だ。4トウループ+3トウループ。

楽しい、楽しい

辛い時はあえてポジティブな言葉を、力を抜こうとする本能に抗うためだ。

頑張れ、まだだぞ、ラスト!

「SEIMEI」平昌五輪連覇をもたらした特別な曲。120%の力で滑り切る。体力だけでなく精神力を鍛えることが狙いだと、羽生は言う。素材として輝くための自分との闘い。)

 

競技やってる時は僕が演技をノーミスできれば、成績が良ければ正直それで勝ちでいいんですよ。だから僕次第だなってすごく思っていたんですけど、こうやって今プロになって色んな方々が支えてくださって、色んなことを考えてくださって、僕はこうやって毎日できるときに少しずつでもいいから、積み重ねて積み重ねて、演技の質とか耐久力とか持久力とか上げていかないといけないなって思ってます。

 

(一年前、先が見えないと不安をもらした。今は・・・)

 

今は正直その先なんか見てないし、真っ暗でしかないんですよ。でもその真っ暗だからこそ無限大の可能性が広がっているから、その真っ暗を大切にしたいなって思っています。でもこれは強がっているところもあるし、楽しくはないけれどそれでもいいんだって思って、とりあえず今を生きよう、今を目一杯滑り切ろうって。

 

(スターの階段を駆け登った栄光の日々があった。

北京で流した涙もあった。

そのすべてと共に、前へ。

スケートは自分が生きている証。

更なる高みへと。

職業・羽生結弦。

今日も自らに挑み続けている。

BGM「水平線」)

 

 

 

 

この番組の撮影は2023年7月。

この時点から羽生選手は11月以降の単独ツアー「RE_PRAY」を見通して、こんなにキツイ練習を積み重ねてきたのですね。

しかも単独ツアー開催の発表があったのは9月ですよ!

2月の東京ドームで単独公演を開催したばかりで、企画構成から組み立てているなんて、どれだけ多才で努力家なのでしょう。

 

こんなに誠実に生きていて、こんなにまっすぐにスケートと向き合う羽生選手。

私は引き続き応援していきます!!