売り上げに貢献しない美容師から学ぶ「信頼」と「価値提供」
はじめに
美容院に行くと、多くの人が「施術+営業トーク」を体験します。
「このトリートメントも一緒にどうですか?」「次はカラーもおすすめですよ」など、追加メニューや商品の提案は、美容師にとっては当たり前の光景かもしれません。
しかし、先日私はそんな常識を覆すような美容師さんに出会いました。
彼女は「売り上げにはまったく貢献していない美容師」。
けれど、その対応はお客さまに寄り添う“神対応”で、心から信頼できる方でした。
今日はその体験を通して、「目先の利益を追わない価値提供の大切さ」についてお話ししたいと思います。
美容院での意外な出来事
私は普段、美容院で会話をするのが苦手です。
せっかくの時間なので、話すよりも読書に集中したいタイプ。
そのため、安価で指名制度のない美容院に通っています。
ある日、縮毛矯正をお願いしました。
クセ毛を抑えてストレートにしたいと思ったのです。
ところが、担当してくれた女性美容師にこう言われました。
「縮毛矯正、必要ないですよ!」
驚きました。
なぜなら、縮毛矯正は1万円以上の高額メニュー。
普通の美容師さんなら「ありがとうございます」と笑顔で受けてくれるはずです。
ところが彼女は、あっさり否定してきたのです。
第一印象は「正直ハズレ」だった
その美容師さんと会うのは初めてでした。
正直なところ、第一印象は「ハズレかも」と思いました。
なぜなら、彼女は美容師らしく見えなかったからです。
メイクもほとんどしていない。
髪もクセ毛のまま整えていない。
いわゆる「おしゃれな美容師像」からは程遠い見た目でした。
「今日は残念だな…」と心の中で思ってしまったのです。
しかし実は「神対応」の美容師だった
施術が進む中、彼女の対応がまったく違うことに気づきました。
「縮毛矯正って、施術者によっても仕上がりが大きく変わるんですよ」
「お客さまはカラーもやっているから、髪が結構痛んでいますね。だから縮毛矯正は最低でも半年以上は空けた方がいいんです」
「でもね、利益だけを考える美容師なら“やりたいと言われたらやりますよ”って受けちゃうんです」
「お客さまだったら、毎日のアイロンだけで十分きれいなストレートになりますよ!買うなら必ず温度調整ができるアイロンにしてくださいね」
…なんという誠実さでしょう。
私は衝撃を受けました。
だって、普通ならここで「高いトリートメントを追加しませんか?」とか「この商品を買うともっと持ちが良くなりますよ」と勧められるのが当たり前。
でも彼女は一切売り込みをせず、本当にお客さまにとって必要なことだけを伝えてくれたのです。
「何も売らない」ことの価値
私は長年、ビジネスの世界でセールスを受け続けてきました。
だからこそ思いました。
「えっ、何も売らないの!?」
普通なら驚くべきこと。
でも考えてみると、この「売らない姿勢」こそが最大の信頼を生むのだと感じたのです。
実際、この美容院は給与制で、指名料や売上フィーがないのでしょう。
だからこそ、目の前のお客さまの髪にとって本当に必要なことを、正直に言えるのだと思います。
経営者目線とお客さま目線のギャップ
もし私が経営者なら、こう考えるかもしれません。
「1万円以上の売上を断るなんて、もったいない!」と。
確かにその瞬間の利益だけを考えれば、やってもらった方がプラスでしょう。
しかし、お客さまの髪はダメージを受け、長期的に見れば不満につながるかもしれません。
逆に、「やらない方がいい」と正直に伝えてくれる美容師さんは、長期的に見れば圧倒的な信頼を得ます。
結果的に「この人に任せたい」とリピートにつながるのです。
つまり、
-
経営者目線:短期的な売上を取りたい
-
お客さま目線:信頼できる人にお願いしたい
このギャップの中で、どちらを優先するのか?
その選択によって、未来は大きく変わるのだと思います。
短期的な利益よりも、長期的な信頼
ビジネスの本質は「目先の利益を取るか」「信頼を積み重ねるか」。
彼女のように「売り上げに貢献しない美容師」は、一見すると経営にマイナスに見えます。
しかし、長期的に考えると、こうした対応が「お客さまを離さない最大の要因」になるのです。
なぜなら、人は「自分の利益ではなく、自分に寄り添ってくれる人」に心を開くから。
そして一度信頼を勝ち取った相手には、長く通い続けるのです。
まとめ
今回の美容師さんは、確かに「売り上げに貢献しない美容師」で
した。でも実際には、お客さまにとっての最高の美容師でした。
私たちがビジネスをする上でも同じことが言えます。
短期的な売上を追いかけるのか、それとも長期的な信頼を築くのか。
答えは明白です。
お客さまに寄り添い、正直に、誠実に対応することこそが、最終的に最も大きなリターンを生む。
「売らない美容師」の姿勢から学んだのは、そんな普遍的な真実でした。