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エレベーターの扉が開いた。
人はいない。
節電対策もあり、目に優しいとさえ感じる少し暗めの光に照らされるエレベーターボックスの中は、何故だか空気が澄んでいて、どことなく輝いているように見える。冷たいのだが、何だか懐かしくて楽しい気持ちになる、そんな空間に入った。

ボタンの前に立つと、6階を示すボタンに光が灯っている。
誰かが上の階で乗って、押し間違えて、そして降りたのだろうと、自分に言い聞かせた。
ドアが閉まり始め、私は1階へのボタンを押した。
理由は解らないが、なんだか心地がよい。
エレベーターが下り始め、念のため後ろを振り返えってみたが誰もいない。明らかにそこの空気が輝いており、心地が良い。そんなことを思いながら立っていると、6階に到着。ドアが開いた。

どうせ誰もいないのだろうなぁと、少し顔を出して人が乗ってくる雰囲気を探したが、やはり見つからず、ドアの閉めるボタンを押した。次の瞬間、ボックスの扉側に重みが掛かったように前に傾き、そして閉まろうと動き始めた瞬間の扉が何かに引っ掛かったかのようにガクンと開いた。そして光が出ていった。

ドアを閉めるといつもの空間に戻り、冴え冴えの意識も普通に戻った。