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BESPOKE

芸術をめぐる冒険と、最近思うこと、いろいろ。

音楽家。

彼女が大ブレイクしたのは、
ちょうど僕が高校生で
若者の悶々とした日々を送る中で出会いました。
独得な表現方法で、音楽性や歌詞、PV、ジャケット写真などを作り上げ
奇抜でいて注目を浴びやすいながらも、
音楽への芸術性、美しさ、フェティズムが
多くのファンを魅了していました。
ファッションも注目されていて、
看護婦の衣装や、着物、
VIVIENNE WESTWOODの伝説的な指輪アーマーリングを
カッコ良く着こなしていました。

どうにも真似できない、彼女自身の個性が
CDから、TVの音楽番組から、雑誌から
大爆発していたのです。
何者でもない若者にとって、これ以上に憧れる、
そして嫉妬する才能は
他のアーティストからは感じられなかった。
自分で楽曲を製作し、詩も書き、
演奏し、衣装を決める。
他のどんな職業でも、
ここまで自己を表現する仕事は他にはないだろうと。

しかし、
今なお第一線で活躍する彼女が
最近ある番組で語ったのは意外な言葉でした。
「一般受けする詩や、音楽を作成しているつもり。」
彼女が今までしてきたことと、矛盾を感じずにはいられなかった。
もちろんリップサービス的なところも多少あるでしょう。
でも、彼女が音楽家として意識しているのは
お客様へのサービスであって
自己表現の投影でも、
芸術性への追及でも、
奇抜さで注目を集めたいからでもない。
出来れば裏方をやりたいぐらい、
プロとして大衆の皆様へ提供する音楽をつくりたいと語っていました。
なるほど。

ビジネスとしての、
奇抜さや、斬新さ、派手なもの、目を引くものは沢山あります。
でも、その商品自体の質や価値を無視して
独り歩きしているものの方が多い気がします。
意図的な奇抜さや、個性を主張しても
それは薄っぺらなものでしかなく、
彼女のそれこそが、本物だったんだなと
今ようやく気付きました。
結局一番大事なのは、商品が本物かどうか。

本当にカッコいい人だな。