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BESPOKE

芸術をめぐる冒険と、最近思うこと、いろいろ。

私は以前、ISETAN本館で働いていた事がある。
ここでの話をしたいと思う。

私はある有名セレクトショップの
バックオフィス業務を担当していた。
ストックの搬入、搬送、在庫整理、
サイズ取り寄せなどの仕事だ。
言ってしまえば、販売員がしたくない仕事を
一気に引き受けているような人員。

ここでの業務でも沢山の事を学ばせてもらった。
ISETAN側の社員の態度の悪さや、
女性店員世界の怖さなどだ。
近隣の店舗の恐怖話は、
怖いと同時に笑ってしまうような人間の醜さが象徴されている。

そんな中で、とても衝撃的だった話をしたい。
色々な意味で疲れ切っていたある日、
私はいつものように
店舗からだいぶ離れたところにあるバックオフィスへ
在庫を取りに向かっていた。
そこでは複数のブランドが同居し、沢山の洋服が荒々しく収納されている。
はっきり言って、行きたくない場所だった。

御客さんや店員で込み入った通路にふと目をやると、
何かが目に飛び込んできた。
?、なんだろう。
真っ白な何か。
目を凝らして見ると、そこには天使がいた。
後ろ向きだったので、正面の容姿は見えなかったが
確実に背中には羽があった。
そして、頭ははげていた。
洋服や、靴、背中の羽は確実に
天使そのものだが、
それ以外はおじさんの容姿をしていた。
…。

これは、一体何だろう。
そのあとも気になってしょうがなかった。
不思議な事に、周りに人達には
全く?見えておらず、誰もその事には
触れたり、騒いだり、ざわついたりもしていない。
見えているのは自分だけ?

後で、よく考えてみたけど
その時の自分の精神状態が
見せた幻だったのかもしれない。
あの混沌とした世界で、
一筋の救いを求めていた気持ちが
具現化したものだったのかも。

それ以来、天使は一度も観ていない。

電車の中で、御姫様が座っていたのを観たくらいだ。