18歳で定時制高校に入り、20歳で卒業を迎え、

理学療法や作業療法を学ぶべく、

そういった大学を目指したけれど、受験に失敗。

浪人生活に突入して、予備校に入り、

そこで、あるキーパーソンと出会う。



「英語の先生でした。

 家によく誘ってくれて、勉強だけじゃなく、

 人生全般について、いろんな話を聞いてくれた。

 そこで、ニュージーランドへの語学留学を勧められたんです」



ニュージーランドへ語学留学。

そんな選択肢、考えたこともなかった。



「その頃の僕は、かなり鬱になっていたんですよ。

 限られた人としか関係性を作れなかった。

 英語だってできないし、不安しかないはずなのに、

 とにかく行きたい!っていう気持ちの方が、

 ずっと上回っていたんですよね」



「とにかく行きたい」。

この強い思いが、いつも彼を突き動かす。

ドアの開け方や足の踏み出し方よりもまず、

「行きたい!」。その思いが原動力だ。



「すごく追い込まれていたから、

 その反動みたいなものですよね。

『俺は生きてるんだ!!!』みたいな(笑)。

 生きる力、生きたい力が内にあって、

 それが長年押し込められているんだけど、

 あるタイミングでドーン!と爆発して、

 海外へ単身留学。すごい極端ですよね(笑)」




自分は何ものかに

生かされている




1ヶ月間のホームステイと語学スクール。

ある時、ホストファミリーがこんなことを言った。



「彼らは僕の下の名前を取って、

『トム』と呼んでくれていて。

『英語ができなくて恥ずかしいと思ってるかもしれないけど、

 私たちは、あなたが感じていることを、

 ひと言でもいいから知りたいの。

 単語や発音が間違っていても、

 かまわずそれを伝えてほしい』と」



自分は、ここにいていい存在だ。

受け入れてもらえる存在なんだ。

そのことが、彼に力を与える。



「僕の居場所は、学校にはなかったけど、

 違う世界に飛び込むことによって、

 出会う人たちの中に、常にあったんです。

 1ヶ月の滞在予定は終わったけど、

 僕のビザはあと2ヶ月使えたので、

 帰国せずに、バックパッカーとして、

 2ヶ月間、一人旅をしました」