第6回は、どんな受験生でも必ずぶつかる「壁」です。そこにどう向き合うか、ということは、決して簡単なことではありません。ただ、乗り越えようとすることに意味があることも忘れないようにしていただけたら、と思います。
中学受験に取り組む子どもたちは、日々コツコツと努力を積み重ねています。しかし、その努力がすぐに結果に表れるとは限りません。特に5年生から6年生にかけて、「がんばっているのに成績が伸びない」という壁にぶつかることは、多くの受験生が経験することです。
この「伸び悩みの時期」は、子どもにとっても、親にとっても精神的につらい時間です。模試の結果が下がると、「このままで大丈夫なのか」と不安になり、つい焦りから塾や教材を変えたり、学習量を増やしたりしがちです。
しかし、本当に大切なのは、この時期にどう向き合うかです。
まず、知っておきたいのは、「成績の伸び」は階段状であるということです。少しずつ右肩上がりに成績が上がっていくわけではなく、ある期間は停滞し、そのあと一気に伸びるという子が多くいます。これは、学んだことが脳内で整理され、理解が深まる「熟成期間」が必要だからです。焦って無理に詰め込もうとすると、かえって学習の定着を妨げてしまうこともあります。
では、この伸び悩みの時期に親は何をすれば良いのでしょうか?
ポイントは3つあります。
① 結果ではなく「プロセス」を見る
そばで見守っている立場からすると、テストの点数や偏差値に目が行きがちなのは当然です。しかし、結果に目が向いている時ほど、「どんな姿勢で学んでいるか」に注目してみてください。集中して取り組んでいる、分からない問題に粘り強く向き合っている、復習を丁寧にやっている―そうした日々の努力こそが、やがて大きな成果に結びつきます。点数が下がっても、学ぶ姿勢が崩れていなければ、何も心配はいりません。
② 「できること」に目を向ける
模試やテストでできなかった問題ばかりに目を向けてしまうと、子どもは「自分はダメなんだ」と思い込んでしまいます。そんなときは、「今回、漢字は満点だったね」「図形の問題、前よりも早く解けるようになったね」と、できたこと・改善されたことを具体的に伝えましょう。小さな成功体験の積み重ねが、子どもの自信になります。また、そのためにも、普段から「プロセス」に目を向けていることが必要になります。
③ 親が“落ち着いている”こと
親が不安になると、その気持ちは子どもにすぐに伝わります。逆に、親がどっしりと構えて「大丈夫、今はそういう時期だよ」と言ってあげられれば、子どもは安心して前を向けます。受験は長丁場です。不安なときこそ、親がブレずに構えることが、子どもにとって何よりの支えになります。
また、伸び悩みの原因が「理解不足」ではなく、「生活リズムの乱れ」や「ストレスの蓄積」にある場合もあります。睡眠は十分か、休息は取れているか、学校との両立はうまくいっているか…。心と体の状態を整えることも、大切な受験対策です。成績が伸びない時期に大切なのは、「伸びないこと」を責めたり否定したりするのではなく、「ここを乗り越えれば伸びる時がくる」と信じて支える姿勢です。受験とは、子どもの成長の一過程であり、その中で出会う壁こそが、子どもを一回り大きく成長させるチャンスでもあります。
今、目の前にある「壁」をどう乗り越えるか―それは、合格以上に価値のある経験になるはずです。