10回シリーズで中学受験について考える、第3回は「親の役割」です。お分かりの方も少なくないと思いますが、勉強と同じで、わかっているつもりでも見直してみると改善点がある時があります。ぜひ参考にしてみてください。

 

中学受験を経験する子どもたちは、小学生とは思えないほどのプレッシャーと日々向き合っています。膨大な課題、週末の模試、ライバルとの比較…。それらに立ち向かうには、知識や解法だけでは足りません。むしろ、精神的な安定こそが、受験を乗り越える最大の武器になるのです。

この精神的な支えこそが、親にしかできない大きな役割です。

子どもがミスをして落ち込んでいるとき、親が「何でこんな簡単な問題を間違えたの?」と言ってしまえば、子どもの自信は一気に崩れてしまいます。逆に、「この問題、難しかったよね。でもよく最後まで解こうと頑張ったね」と声をかけることで、子どもは「また頑張ろう」と思えるようになります。

つまり、親は“監督”ではなく“応援団長”であるべきなのです。

 

中学受験では、どうしても「合格が正解」「不合格は失敗」と見てしまいがちです。つまりは、結果だけに目が行きがちです。プロセスである模試の結果や過去問の自己採点の結果に対しても、点数や偏差値に一喜一憂し、子どもを無意識に追い詰めてしまうことがあります。しかし、成績のアップダウンは当然のこと。伸び悩みの時期があるからこそ、その後の飛躍が認識できるとも言えます。

浮き沈みに耐え、前向きに努力を続けるには、心の安定が不可欠です。その土台は、家庭にあります。

毎日の会話の中で、「今日どうだった?」「疲れてない?」という声かけを忘れない。できなかったことよりも、できたこと・取り組んだ姿勢を認める。それが、子どもの心を守る支えとなります。

また、親自身が不安を抱えている場合も少なくありません。「うちの子、本当に間に合うのだろうか…」「周りはもっと先に進んでいるのに…」。そう感じるのは当然です。ただ、その不安をそのまま子どもにぶつけてしまえば、子どもは「自分は親をがっかりさせている」と思ってしまいます。

不安なときこそ、“親がどっしり構える”ことが大事です。

「あなたなら大丈夫」「今の頑張りを信じてる」。その言葉を本気で信じてくれるのは、親だけです。家庭が安心できる場所であれば、子どもはまた前を向いて走り出せます。

もちろん、すべてを褒めれば良いわけではありません。叱るべきときは、毅然とした態度も必要です。ただし、それは「結果に対して」ではなく、「取り組む姿勢」に対して行われるべきです。努力をせずにサボっていたなら、その姿勢を問い直すことは大切です。しかし、頑張っている子どもに「なぜもっとできないの」と言うのは、逆効果です。

 

中学受験において、最も長く寄り添ってくれる存在が親です。塾の先生はプロフェッショナルですが、毎日の様子を見て、心の小さな揺れに気づけるのは親だけです。

だからこそ、学力を支えるのではなく、心を支えることに意識を向けてみてください。どんなときでも子どもが「味方がいる」と思える環境を整えること。それが、合格という結果以上に、子どもの人生を支える力になります。