先生に会うかもしれない…そう思うと、学校に行きたくなかった。
でもとっている補習授業もあるし休めない。嫌々だったが学校に向かった。
 
何時間目かの授業が終わり、休み時間にぼんやり廊下をながめていると
 
(…!先生だ)
 
同時に、きゃはは、と女子の高い笑い声も聞こえてきた。T先生と楽しそうに話しているみたいだ。
 
それを見た瞬間、落ち着いたはずの涙腺が再び緩みだす。
みんな事情を知らないし、教室では泣けない…急いでトイレに入った。
 
トイレにも人はいるため、声を押し殺して泣く。
 
(もう私には、あんな風に笑いかけてくれないんだ…)
 
先生、先生…
 
あ 今更気が付いた
 
こんなに傷付いて、失ってからやっと気付くなんてね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
先生のこと大好きだったんだ
 
 
先生の家ならこの前車で行ったし、なんとなく場所は覚えてる。
夜だし学校からは結構な距離があるけど、どんな反応するか楽しみで、わくわくしていたのでつらくはなかった。
 
先生にメールしてみる。
 
「いま先生ん家向かってます♪」
 
「は?そういう冗談いいから」
 
もう!なんで信じないの?
どうやったら信じるだろ?
 
先生の家まであと少しというところで、証拠として近くのスーパーの写メを送った。
 
さすがにこれで信じるでしょ。
 
するとT先生から電話がかかってきた。
 
「ちょっと…いまどこ!?」
 
「え、どこって…先生の家の近くです」
 
「はあ…じゃあスーパーで待ってて」
 
それだけ言って電話を切られた。
 
迎えに来てくれるんだ!
私はそのスーパーの駐車場で待った。
 
すると、しばらくしてクラクションの音が聞こえた。その方向を見ると先生の車。私は急いでかけ寄った。
 
「早く乗って」
 
「あ、せん「なんで勝手なことするん!?」
 
思いきり怒鳴られた
 
「こんなん、ただの迷惑やっ!!」
 
驚きのあまり何も言えなくなる。先生がこんな怒ってるのを見るのは、初めてだった。
 
「家まで送る」
 
返事することもできない…今更になって、自分したことの勝手さを感じ、泣きそうになる。
 
先生は運転中一言も話そうとはしなかった。
 
気まずい沈黙の中、私の家に到着した。
 
「先生…ごめんなさい」
 
「…あぁ」
 
「失礼します」
 
先生の車が走り去ったあとその場にうずくまる。
もう…会ってはくれないんだろうな…
 
一晩中、涙が止まらなかった
 
 
あんなことがあってから、ますます先生のことを考えてしまう。次の日さっそくメールしてみた。
 
「次いつ会えますか?」
 
するとすぐ返事がくる。
 
「さあ~。いつやろな?そのためには"会いたい"と思わせてくれなあかんわ!」
 
うわ。まーたSなこと言ってる…
 
「そんなの…どうやってですか???」
 
「それは自分で考えること!」
 
「う。分かりませんよ(*_*)」
 
「あっそ。じゃあ、しばらく会えんな♪またね~」
 
はあーーーーーーーー!?
 
なに考えるてるんだこの人…
多分、私が会いたいの見透かされてるんだろなあ。なんかメールじゃ、らちがあかない。
 
よっし!学校で話そう
 
2日ほど過ぎ。受験の過去問を解いて、職員室のT先生のところまで持って行った。
 
「こんにちわ!」
 
「あ、こんにちは。」
 
「問題解きましたあ」
 
「見せてみ?…
これ、なんでこうなるん。~やから、こっちに決まってるやろ?
もっかいやり直し。」
 
「分かりました。」
 
周りに他の先生がいないことを確認し、気になっていたことを話す。
 
「次、いつ会えるんですか?」
 
「分からへん。とりあえずここではそーいう話しないで」
 
「…はーい」
 
新しい問題をもらって職員室の外に出る。
 
(はあ。なんだかなあ)
 
教室に戻るとメールがきていた。
 
「会いたいのはやまやまやけどな~」
 
「え、私も会いたいからちょうどいいじゃないですか!!^^」
 
「いや、6時過ぎまで仕事あるし。」
 
「それ終わってからとかはダメなんですか??」
 
「だめ。会いたいと思わせる努力してないから」
 
もう…そればっかり。
 
よーし、こうなったら…いきなり先生ん家行っちゃお!
 
 
 
馬鹿な私は、これから起こることなんて、考えてもみなかったんだ。