本城直季展 (un)real utopia この世界にあなたがいる
岩手県立美術館(~11/28)
 
本展は撮影OKなので(フラッシュや三脚、自撮り棒など注意事項はあります)、
一部(150点くらいあるのでさすがの私も全撮りはやめました)、30点くらい撮ったかな。
 
ただ、撮った画像と目で見ている写真との間に違和があって、なんだろうと思ったらそれは
まずiPhoneの画像は青みを帯び、勝手にシャープになってしまうため、
受ける印象が変わってしまうようだった。
 
本城直季氏の作品は現実の風景なのにジオラマのように見える、その謎を解明すべく写真に近寄って焦点を探すと、
焦点がいくつもある…なぜ? ふつうは焦点のあっているところから離れるにつれてボケるものですが、
ボケの出現もいくつかの地点にあって、累進レンズのカメラ?と思ってみたりもしました。
 
 
 
近づいてよく見ると決してフィギュアではないのに、フィギュアみのある
この表現はどこから生まれるのでしょう。
 
 
たまたまですが、7月に自分が撮影したある場所のプールです。
ヤシの木も生えているし、雰囲気は近いのですが、ボケが足りません。
 
人物たちのフィギュア度も及びませんが、真上から撮るとある程度フィギュアみは
出るようです。でもまだなにか決定的なものが足りない。うーん、
なんだろう、とミステリーハンターの気持ちで写真を見て歩く私です。
 
点数は多かったですが、けっこう展示空間が大きく感じられ、歩きながら見る、ということが
世界中のあるいは日本中の、盛岡の、三陸沿岸を旅しているような気持にもさせられます。

 

 

 

 
現在の東京駅なんですが、煉瓦の質感を消しているので、
精巧につくられたドールハウスのように見えるし、
クルマはミニカーに見える。ボケが右下の黄色い車たちのところにも
左上の屋根のあたりにも出現しているように見える。
私はボケハンター。

 

 
額はカンナかけたてです、みたいな木製の額で、この画像ではわかりにくいですが、
横から見るとけっこう厚みがあります。箱庭感をさりげなく
強化しているようです。

 

ちょっとこれもわかりにくいですが、木製の枠の内側にLEDが仕込まれていて、
それが目立たないように上から紙(かな?)で覆ってありました。

 

 
写真とはべつにこの展示光景もおもしろいなーと思いました。
 

 

学生時代に撮っていた写真の展示は少し低い位置に。

 

 
見逃すところだった、宝塚の写真。黒い背景の中のヅカガールたちは
映写機の中を覗いているように映ります。

 

 
これは私もよく知っている盛岡のある場所だったんですが、
確信が持てなかったので近くにいた監視員の方に聞いたら、
やっぱり高松公園でした(地名は記載されず、盛岡だということだけはタイトルからわかります)。
 
釣り堀のあるところなのですが、こんなユーモラスな形をしていたんだと思いました。
 
10年前はほぼ毎日走っていたマラソンの練習コースでした。

 

 
これは分かるし確信も持てる。ここがただの盛り上げた土の、裸の山状態だった時から
知っているからでしょうか。

 

 
最後のコーナーは東日本大震災で大きな被害を受けた岩手・宮城の沿岸の2011年と2021年の写真でした。

 

 

 

 
私も行ったことのある、石巻、陸前高田、大船渡という地名を見ると、
やはりそこに自分の知っている場所を探してしまいます。
 
石巻は先月行ったばかりですが、石ノ森萬画館は探したけれど見つからなかった。
 
このほかにも夜、石巻と盛岡の町をあるいて撮った写真も印象的でした。
盛岡ですから、自分の住んでいるところは映ってないかな~と思っちゃいますよね。なかったですが。
 
このあと、インタビュー(15分)上映を見たのですが、これがすごくおもしろくて、
これを展示室内で上映ってわけにはいかなかったのかなと少し思いました。
写真展を見終わったひとはわりとそのまま外に出てしまうことが多いので、
このインタビューを見れば面白さ倍増、もう一度見よっかな!と引き返したくなるよーといいたい。
 
4×5(シノゴ)との出会いや影響を受けた写真家、
4×5の魅力とあの作品がどのようにして撮影されるのか、
 
ヘリコプターの窓を開けっぱなしにして(そうしないと4×5で撮影できない)俯瞰の写真を撮る本城さんですが、
シノゴのフィルムはもちろんデジタルではないし、ロールでシャッターを切れば自動的に次のフィルムがセットされるものではないので、
思っていたのと全然違っていました。
 
画面を計算してゆっくり調整しているのかなと思っていたのです。
 
なによりヘリコプターで物凄い風になぶられながらインタビューに答えつつ、写真を撮るという離れ業にこれは鳶の職人のような技術もいるなと思いました。
 
インタビューはヘリコプター篇(そんな篇はないが)と岩手県立美術館の階段の上で聞くパートに分かれていましたが、すごくよかった。としか言いようがないが、なんなら展示の途中で一回インタビューを聴いてからまた展示にもどったらどうかと提案したいくらいです。
 
メモ。
影響を受けた作家 アンドレアス・グルスキー、ホンマタカシ
 
(特にアンドレアス・グルスキーについては、外国の赤や青のカラフルな工場や倉庫の作品に影響を感じた)
 
シノゴ 
描写力が違う
アオリが使える
フィルムとレンズ面をジャバラを固めることでピントがずれ、焦点距離が短くなる。
 
ピントも合うところとないところが生じる
 
ボケが綺麗にボケてないと作品として成立しない
 
自分の住んでいる町を知りたい―俯瞰
遠くのものだけで近くのものを見ている感覚