国宝の鳥獣戯画甲乙丙丁全巻を会期通して展示するという、

まさに特別展というにふさわしい、

「国宝鳥獣戯画のすべて」東京国立博物館 平成館(2021年4月13日~5月30日から、

会期延長6月20日まで)

 

を見ることができました。奇跡!

 

東京でロケが決まったタイミングが6月上旬だったのですが、まず考えたのがいまなら間に合う!

ギガ熱い鳥獣戯画展を見なきゃでしょ!ということで、ネット予約のはじまる日時をスマホのスケジュールに入れて、

その時が来たらパソコンの前にしがみ付き…しかし埒が明かないのでセブンイレブンに走った私でした。なんなく購入。シュワッチ!

 

東京に行くことも稀になったので、上野公園の東博に向かう広い道の噴水掃除作業にさえ

感動してしまったほどです。広い敷地内に雰囲気の異なる大きな建物が3つあり、

今回は平成館が会場です。

 

時間帯が9時~10時(の間に入館するということ。滞在時間は90分以内)の

チケットだったため、またずにすぐ入れましたし、スタッフの方々の細やかな声掛けのおかげで、

大きな企画展だったのにもかかわらず、ストレスなく、すべての展示を気が済むまで見ることができました。

 

とはいえ、やはり待つ場面も多々あり、そこで役立ったのが音声ガイドですよ。

 

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(図録もすばらしい。デザインのすみずみまで鳥獣戯画愛にあふれており、

実際の鳥獣戯画の約90%の縮尺で載せつつ初心のものにもわかりやすく、

次第に深いところまで連れて行ってくれる472Pのギガ熱い図録なのだ!)

 

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音声ガイドのナビゲーターに山寺宏一。えっ。なんで加持さんがいまここに。

いや声優さんですもの、幅広いお仕事をなさっているだけですけど。

メーテル池田昌子さんの解説も聞いたことがありますし、声優さんの解説だったらまず借りる。

シン・エヴァ脳になっているので、加持さんの声でやっているわけではないのだが、あー加持さん、と思ってしまう。

 

音声ガイドの画面には相棒のウサギがちょこちょこ出てきたり、解説の該当部分の画像が出てきたりして、

待ち時間の間につぎの展示の予習もできましたし、クイズもあって楽しかった。借りることをお勧めします。

 

 

 

私が子どもの頃から「鳥獣戯画」は日本のマンガの原点、という言説はあちこちで

耳にしていたのですが、こちらは子どもで今のマンガを読んでいるという自負もあり、

 

そんな古臭いものがいまのマンガの原点ってわけないでしょ、無理やりすぎる、

とそんなことをぼんやり思っていました。当時私が読んでいたのは「がきデカ」とか「ブラック・ジャック」とか中学高校まで入れると、

「マカロニほうれん荘」「百億の昼と千億の夜」「綿の国星」「日出る処の天子」などなど…アニメも第一次ブームの頃で、「鳥獣戯画」、そんなにすごいか?と思っていました。

 

しかしそれから40年以上がすぎ、私も大人になったのか、一目見るなり、これはマンガだ、平安時代にこの絵を描いて楽しんでいたひとたちがいたのか、と驚きました。昔は動物の戯画化なんて、そんな古臭い手法とさえ思っていた。なんだったんだ子どもの頃の自分。

 

 

 

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動物の戯画化にしても、この想像力はどうした、と感嘆するばかりです。

なんて生き生きとして、しかも動物のかたちを変に曲げていないところにも

感心してしまいます。

なにより、平安時代に描かれた巻物を1000年以上経ったいまの自分たちが

見てもおもしろく、その線に見惚れるということに、日本の絵はすばらしい、と誇らしくなってしまいます。

西洋画に比べて立体感や奥行きがないと言われる日本の絵ですが、この時代にこれだけ闊達な線をものにしていた

われらが鳥獣戯画をみよ、といいたい。

 

 

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鳥獣戯画といえば、ウサギさんとカエルさんばかりがクローズアップされますが、

猿さんも大活躍でしたし、猫さんほかレアキャラも多数。

 

乙巻には空想上の動物や擬人化されていない動物がしかし達者な筆さばきで描かれています。

見たことのないものをなぜそうも迷いのない線で描けるのか。

 

甲乙丙丁のそれぞれの特徴についてもはじめて知りました。

事前に勉強してから見ればもっとよかったのかもしれませんが、

私はつねに現場で見て感じて終了です。図録を読むのはたいてい2,3年後に

ほかの美術展に行って、あれ?この絵なんか前に見たことがある~なんてきっかけです。

 

それでも図録を買っておくとあとになって読み勉強することができるので、

ボンクラなりに勉強したい気持ちはあるので毎回買うのです。もう買うのやめようかなあと思うこともありますが、

(重いし場所を取るので)

買わない人が増えると図録をつくる人もいなくなるのでは、といいう気持ちからよほどのことがなければ

買うことにしています。

 

「鳥獣戯画」に人間が出てくるということも知らなかった―。

 

これは「首引き」という危険なゲーム。まわりの人達は笑っているので、

楽しかったんだろうなあ。「耳引き」もありました。

 

 

「鳥獣戯画」甲乙丙丁巻に加えて、「断簡」もおもしろかった。

特に好きなのがこの猿がウサギの耳を摑んでいるもの。擬人化された動物が

擬人化されていない動物とおなじ画面に出ているといえば、ミッフィーちゃんとペットを犬を

連想しますが、鹿の角をつかんだ猿が長い腕を伸ばしてうさぎ(こちらは狐に騎乗)の耳をぎゅっと

摑んで嫌がらせ。非常におもしろくてすきな場面です。

 

「断簡」と「摸本」の存在が「鳥獣戯画」のかつての姿の復元をかたちにする…

 

 

 

「鳥獣戯画のすべて」でしたが、「鳥獣戯画」の伝わった京都の古刹、

高山寺に関連して、明恵上人の展示も多くありました。

予習しないので知らなかった。そして現場で、明恵上人といえば、澁澤龍彦、と喜んでいました。

 

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なんとタツノオトシゴの展示までありまして。

 

澁澤龍彦と思ったら「龍子(タツノオトシゴ)」がでてくるなんて…。

 

明恵上人について、天竺への憧れを象徴する、

 

「蘇婆石」と「鷹島石」の展示には胸を打たれました。澁澤龍彦の絶筆となった『高岳親王航海記』も連想しました。

 

 

 

動く歩道で甲巻を流れるように鑑賞し、壁のアニメーションで和ませてもらい、

会場のあちこちに登場するギガキャラたちに温かい気持ちにさせてもらった。

国宝「鳥獣戯画」を保存し、修理し、きょうここに見せてくれた多くの人達の力に感謝し、

 

会期延長のうえ、月曜休館も開館にしてくれた国立東京博物館に感謝の気持ちとして、

とりあえずグッズは気が済むくらい買いました。

こんなにたくさんの楽しいうつくしいグッズを用意して待っていてくれてありがとう、の気持ち。

 

自分、うさぎ年なのでうさぎさんグッズが多めです。

 

図録は2,3年かけて読むと思います。