彩画堂さんで開催されている「真冬の画材屋ワークショップ」、今回は額装のワークショップです。題して、
 
「額縁屋になりきる会リターンズ」
 
参加者は私もふくめて4名でしたが、今回が2回目という方も。
 
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色合わせの前に、額縁とサイズについてのお話があり、これが興味深かったのです。
 
油絵の額はキャンバスがすっぽり入るようにできていて、逆に平らなものは入らないようになっているそうです。
そんなことすら、いままでまるっきり疑問も抱かなかったので、やっぱりなんでも参加してみることだなあと思いました。
 
デッサンサイズでおもしろかったのは、基本的にアメリカのガラスのサイズからつけられている名前なのですが、ですからサイズの基本がインチなのですが、元のサイズを考えると約20m×20mの大きなガラスなんですよね。
 
そ、そんな巨大なガラス板をどうやって保管し、どうやって裁断しているんだろう…。さすがアメリカ。
 
 
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油絵サイズ、賞状サイズ、デッサンサイズ、ポスターサイズ、写真立て、写真額サイズ、書道額作品サイズ…
 
額縁を手掛けるひとはそれぞれに違うサイズに精通していなければならないのだなあと。私は写真の会に入ってから四ツ切というサイズはよく聞くようになりましたが、写真にも書道にもある全紙はサイズがちがうからね。デッサンサイズには大全紙なんてあるからね。
 
デッサンサイズでおもしろかったのは、
 
「太子」という名称のサイズ(379㎜×288㎜)があって、その由来は昭和天皇が立太子した折、肖像写真を大量に配ったそうで、そのサイズから来ているそうです。
 
額縁には直接関係ないですが、能上純一の『昭和天皇物語』にはまさしく立太子のエピソードもでてきました…でも肖像写真を配るエピソードまではなかったので、私の脳内で補完しておきます。こうしてマンガと額縁が私の中でジョイントされたのでした。
 
 

さて、額縁とマットを択ぶ段になりました。

 

額装したい作品は小さなものを用意してくることになっており、

私は間に合えば、伊山桂さんの銅版画集から一点、額装したいなと思っていました。

 

 

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紙町銅版画工房・岩渕俊彦さんの推薦の言葉を読んで、心を動かされ頼んでいたのでした。銅版画なので、注文を受けてから刷ることになり、私のいただいたものは8/30でした。

 

 

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こちらの、「生きるということ」と少し迷いましたが、作品集の1ばんめの絵を択びました。

 

 
マット紙の横にあるのはケガキ用具。これでマット紙をくりぬくための線を引くのです。image
 
で、彩画堂さんの先生がカットのためのガイドをひとりひとりに作ってきてくださっておりまして。
 
 

 

 
絵のための窓をあける計算は測定を間違えなければできますが、微調整が難しい…。
 
また、カッターを走らせたつもりでも一点でぶらぶらつながったままだったり…。
 
子どもの頃から手先のことが不器用で、教えられたことを一度ではできないタイプの私ですが、丁寧に教えていただいたおかげと刃物が好きというアブナイ性質のため、ここは思ったほど難航しませんでした。
 
ちなみに私は昔から絵が下手なのですが、中学時代まではヒマさえあればおもに少女の絵(マンガ)をノートの裏表紙や下敷きに書きまくっていました。下手なんですよもちろん!しかし恥ずかしいと思うこともなく、テスト用紙の裏にまで書いていました…。マンガ家になりたかったので、街の大きな文房具屋さんに行ってケント紙を買い、18㎝×27㎝の枠線を烏口は高いし難しそうだったので、Gペンで引いて、そこで終わり笑。だいたい枠線を引くだけでも相当難しかった。
 
キリで穴をあけて線を引くとか、いろいろ工夫したんですけど。
いまでは枠が印刷されたマンガ用紙が売られているようで、彩画堂さんにもあり、スクリーントーンも売っていました。いいなー。余談余談。でも子どもの頃にそうやって枠線を引くために紙全体のサイズを計ったり、直角を出したりするということを知っていたのは無駄じゃなかったかも。
 
 

 

 

額は作品の世界に沿うもの、自分がすきなもの、そしてカンパーニュの壁とサイズに合うものを選びました。

 

 

 
できあがった額装がこちらです。マット紙は作品とコントラストが大きくならないように、ベージュがかった白っぽいものを。

 

 
偶然ですが、一緒に講習を受けた方が岩渕さんからの年賀状(おうし座の星座)を額装していて、もちろん銅版画なので、奇しくも岩渕さんと伊山さんの子弟銅版画の額装がならんだわけです。
 
星座のイメージの濃い紺のマットと重い金色の額縁がすごくよかった。

 

 
縦にしそうな額を横につかって。この額とマットもおもしろい組み合わせです。

 

 
京都のお寺の風景絵葉書ですが、南画のようないい絵です。このマット紙の色と額縁、絵の組み合わせも春を思わせるし白が潔い。
 
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伊山さんの銅版画はこのように1点ずつ、折になっていて、
私は土曜日は出られないので受講できなかったのですが、
 
もしできたら阿部夏希先生の製本技術を習うワークショップに出て、こんな綴じをできたらそれも素敵だったかもしれない。
 
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真冬の画材屋ワークショップについて、彩画堂の方が、
種まきという言葉をつかって、届いてほしいひとに届けば、とおっしゃっていたことが忘れられません。
 
ではでは♪