盛岡演劇鑑賞会の例会、無名塾の『朗読劇人間失格』を見てきました。

息子が小学生の頃からずっとふたりで見ているわけですが、前回の『女の一生』、森本薫の有名な作品ですが、すごくおもしろかったし、主人公の布引けいの女傑ぶりが痛快だったようです。私も見る前は勝手にジクジクした感じの物語なのかなあと思っていたので、実際に見て清々しい気持ちになり、

舞台はまず見ないと何も言えないなと思いました。


シンプルなセットながらセリフにこめられた力を感じる舞台。高3の息子にはどうかなと思ったれど、

設定を少し変えたらいまでも通じる、と感じたらしく、主人公葉蔵の入った現代なら精神病院と言われるところが思いっきりストレートなことに笑っていました。たしかに70年も前の作品なのに、主人公の内面の呟き(舞台なので思いっきりはっきり言っていますが)はいまの私たちと変わらない気がします。


息子は文学青年ではないのですが(よく読むのはマンガと戦争や軍隊、戦車、銃に関する本)、よく読んでいる村上春樹と太宰治は似ていると感じたらしく、
村上春樹は商業的な太宰治

と一言。

べつに村上春樹をディスっているわけではなく、文学作品はあまり読まない息子にしては村上春樹はかなり読んでいるので、彼なりの村上春樹論なのだと思われます。

だったら太宰治も読んでから言おうやとは思いますが、私なんて何をどのくらい読んだってこういう気の利いたコメントは出てこない。

太宰治の主人公は自殺するけど、春樹の主人公は死なない、周りの女たちが死んでその死を背負っていく、完、なんだよと。

息子はいつもこんなに喋るわけではなく、やっぱり舞台に強い印象を受けたから刺激されてあれこれ口にしたのだろうと思います。




盛岡演劇鑑賞会に入って7年ですが、コロナ禍で中止や延期などあって、鑑賞会も元々赤字の危機でしたが、鑑賞会に来てくれる劇団の方々はもっと大変だろうなあと思います。

息子も高3で来年就職したら、職種によっては平日に舞台を見ることもできなくなるかもしれない、初めの1年は仕事に慣れるだけで精一杯かも、と思って息子は来年は退会かなあと思っていたのですが、

もう少し一緒に見ていきたいなーと思った夜でした

ではでは♪