「ミッドナイトスワン」、ちょっと足りないシーンはあったかもしれないけれど、いいじゃないのバレエシーンがあれだけ圧倒的だったら。
草彅さんの「くさなぎ」の中に「なぎさ」が入っているのはたまたま? 「なぎさ」が「さなぎ」のアナグラムになっているのもたまたま? 
 
 
入江喜和さんの『ゆりあ先生の赤い糸』、ずっと雑誌で読んでいたのですが、最近は紙の本がすぐにkindle化されてしまうのであわてて購入しました。
 
ゆりあ先生は刺繍の先生なのですが、3歳から15歳までバレエ教室に通っていました。入江さんの『昭和の男』にもバレエ教室の先生や先生の不肖の息子でもとバレエダンサーの青年が登場しましたが、入江さん自身もバレエを習っていたと読んだことがあるので、バレエが好きで、また実際の教室も体験している人ならではの描写が興味深いです。
 

「ミッドナイトスワン」の一果が通うことになったバレエ教室は街中の小さなスタジオで、このマンガの中の教室を連想しました。
 
バレエマンガは数多くあるのですが、リアルなバレエ教室を描いたマンガは案外多くない気がします。

 

 

 

こちらは朗読劇だった「日の名残り」。パンフレットはなかったのですが、カズオ・イシグロさんの本が物販に多数でていたので、こちらを買いました。
 

 

 
舞台の最後は沈む夕日の眩しいくらいのオレンジ色に包まれるのですが、このブックカバーの背景の色をもっと強くしたようなオレンジでした。
主人公の執事は終始慇懃な、格調高い言葉遣いと声の出し方なのですが、彼に話しかけてくる人物たちは彼とは逆に、わりに庶民的で陽気で親しみやすい声と話し方だったのも印象的です。
 
なんとなくタイトルから、没落した貴族の家族たちがかつての栄華を思い出しながら生きている、ような物語を想像していたのですが、「かつての栄華を思い出しながら」というのはなんとなく似通ってはいるのですが、主人公は品格を大切に屋敷の主人に仕えてきた執事でした。
 
物語の最後に、そんな執事にもう仕事を引退した人懐っこい男が「夕方がいちばんいい」と語り掛けます。人生楽しまなくっちゃ。
 
執事もお屋敷も関係ないのですが、入江喜和さんの『たそがれたかこ』を連想しました。たそがれ、というより、輝かしいくらいの夕日をバッグにした主人公が最終巻のカバーだったのですが。
 

 

 
これも例によって思い込みで勝手な物語をつくっていました(笑)。
『浮世の画家』とあるのに「浮世絵の画家」をイメージしていたんですよね…カズオ・イシグロによる写楽とはだれだったのかというミステリ、くらいまで突っ走って想像していました。
 
少し読み始めたら時代背景は1948年~51年…じゃあ、せめてその頃に密かに浮世絵研究をしていた市井の学者が出てくるんじゃないかと思いましたが、主人公は洋画家でした。

 

 

 

 

『浮世の画家』が渡辺謙主演でドラマになっていたことも知らなかったのですが、『カツシン』の中には「独眼竜正宗」の中で勝新太郎とまだ若かった渡辺謙が登場し、勝新太郎の演技とその振る舞いに渡辺謙が圧倒され、多くのものを学んだ体験が語られています。

しかしあれだけ流行語大賞も出た「独眼竜正宗」なのに、なぜか見ていなかったのは残念…当時は21,2で独り暮らしの部屋に小さなテレビもあったはずですし、テレビ番組もあれこれ見ていたと思うんですが。

 

新しい物語を見るとき、かつて見聞きした物語からいろんなシーンを切り抜いてきて重ね貼りしている気がします。それにどういう意味があるかわからないのですが、そうすることで自分のなかに取り込めるとか、咀嚼しやすくなるのかな。たぶんいろいろ繋げて考えるのが好きなんだと思います。