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風の谷のナウシカ ディレイビューイング 前編に続き後編も見てきました。

前回は最終日の夜だったせいか、ガラガラでしたが、きょうは10人以上はいたんじゃないかしら。

花道を役者が走るときにスクリーンの向こうのお客さんがいい入りなので、見ているこちらももう少しいてくれなきゃだわ。

前編はこういう世界だというのをゆっくり教える感じもあったけど、後編は最初から物語が動いている感じがあった。

腐海の瘴気、突然変異の異形の粘菌(芋虫が苦手な私には厳しい場面…王蟲は今回背景画だったのでセーフ)。



私はマンガの「ナウシカ」を読んでいないけれど、歌舞伎の「ナウシカ」は映画より原作に近いらしいです。

父と異母兄達を母の仇と憎む孤高の皇女クシャナ姫の氷のような美貌と、ナウシカの可愛らしさ。演じているのは男性に決まっているのに、内股で立つところとか動きに可愛らしさがあって、アニメのナウシカとは違うけど、ひたむきな姿は可愛い。

ナウシカは、「私は生きることがすき、光や空や虫がすき」(だいたいです)と言う。敵(名前が覚えられない)は闇の中の狂気の中で死にたいと言う(だいたいのところです)。この対照的な生きたさと死にたさは両方誰の心にもあるもので、
ナウシカもずっと世界の命運を背負って戦い続けるわけではない。


敵の術で母親に膝枕されて世界を救うことを忘れて安らぎと愛に包まれようとする。だがすぐに母ではないと見破り、自分はもう二度と諦めることはしないと誓う。

ナウシカに母に愛されなかったというコンプレックスがあった。そこは全然知らなかった…。

しかしこのナウシカ歌舞伎が上演されていたのは12月で、いまの新型コロナウイルスは影も形もなかった頃ですよね。

それなのにいろんなセリフや心理や状況(特に環境)にまるでいまの世の中を言い当てているみたいと感じてしまった。

浄化されたきれいな場所で暮らさないかという誘いに、人はきれいな面と汚れた面が両方あるからいいんだというナウシカ。

物語全体も言葉も、いつの時代どこの国でも通じるひとつの寓話なのではないかと思ったりしました。