ガレの陶芸 世紀末の煌めき 昆虫・植物・ジャポニズム 2020.1.2〜3.8
茨城県陶芸美術館
エミール・ガレのガラス工芸は若い頃から好きで、ガレの作品を収集している美術館やガレの美術展にも隙あらば出かけてきましたが、こんなにまとまった陶芸作品は初めて。
行きたいなーと12月からずっと思っていたんですが、ダメ人間で青色申告の準備が全然捗っていなくて、もう無理と諦めた矢先!
新型コロナウイルスの影響で申告期限が1ヶ月延びたという(ノートパソコンの修理もこれ以上延びないといいけど、それはひとまず忘れて)。
きのうお客様から申告期限が延長というお話を伺って、その後ご来店の常連様にして美術館ボランティア仲間に、
ガレの陶芸行きたいんだ〜
と話したら行きたい気持ちが再燃!
疲れが溜まっていたのか起きたら10時すぎで一時は諦めたんだけど、時刻表を調べてまだ間に合う!と。
盛岡ー上野ー友部 友部駅からはかさま観光周遊バス(100円)で陶芸美術館へ。
たまたまだけど、待ち時間がほとんどないダイヤの組み合わせだったみたい。
やっぱりオレは神さまにエコ贔屓されている!
この笠間芸術の森公園の地図はものすごく滋賀陶芸の森に重なるんですけど…
滋賀の方が美術館まで上がるのが大変だったけど、小高い山の上にあってあたりも関連施設があって…。
私はそれほど美術好きでもないし陶芸ファンでもないんですが、数多い展覧会の中でもこれは見逃しちゃダメ!という勘が働き、そういう時はあり得ない神さまの贔屓により強引に行き着くのです。滋賀の時はいくらなんでも滋賀は無理やろと思っていたらマルコポロリロケが大阪でありまして。マルコポロリロケのおかげでいまはなき天保山サントリーミュージアムで「ガレ展」も見たと思います。
というような神さまの思し召しで見逃しちゃいかんものは恙無く見てきた私です。見逃すなというのは自分の中の世界的にということで偏ってますもちろん笑。
行くまで知らなかったのですが、館内撮影OK(フラッシュ禁止は常識よね)。
えーーーーーー!!!!
1点だけ撮影できるでも嬉しいのに全点撮影OKですと?
嬉しさのあまり唇が耳元まで引き上がるような感じ。ちなみに私は顎力があると勝手に決めつけられていますが顎力はふつうで、じつは口が小さく飲み込む一口の大きさに限界がある笑。口の中はエラも張っているくらいでけっこう広いんだけどね(すべて本人の感じ方です)。
お客様が少なかったのはコロナのせいもあるだろうけど、ふだんから人が押しかける美術館じゃないんじゃないかな。静けさと清潔感がよかった。監視員の方もこちらを見たら次はこちらですよ、とか介入してくることなく放っておいてくれるし。
美術館では自分の世界にいっちゃってるので声をかけられたくないわけよ。だから自分がボランティアで解説するときも声かけは全体に一回だけ。ひとりでボーッとしたい気分の時もあるし。
カエルに薔薇と菫のブーケが散らしてあるなんのロココとと思う。しかもカエルが可愛らしいんですよ。
ガラス工芸と共通のモチーフもあるけれど、陶芸の素材を得てそれならこっちではこの表現もやろうとさらに複雑な手法に出てきている気がする。
この作品は17世紀にナンシーで活躍したジャック・カロの版画からの引用だそうです。さらにそこに伊万里金襴手風の色彩や文様を合わせて異国風に仕立てている…という解説に、
岩手県立美術館で開催された
うつわ ドラマティック展 2018年11月14日(水)―12月20日(木)
にも出ていたジャック・カロの名をここでまた見ようとは!
と思ったです。
自分にはこの異国情緒はポルトガル風に思われました。でもどこの国風というのが一つではなく、作品の中にガレが好きな世界が横溢しているというか。
引き算ってなーに、それ食べられるのと言いたい。
こちら側からは中国趣味の花鳥文様が可愛いな〜と思えるし、団扇を三つ合わせた形はユニークだし、
しかし裏にはナンシー派風の風景画が展開していたのです。別角度の写真が惜しみなく添付されたキャプションに愛を感じますわ。
うつわに描かれた魚は東洋風、取手やうつわの口の表現は西洋風という和洋折衷というより和洋のキメラ。鯉や海藻
の描き方は『北斎漫画』の影響だそうです。
自分の中でこの展覧会で上位のお気に入り。
大きなハマグリと魚に紐をつけてサーフィンでもしているらしいカエル。
ハマグリには海が描かれ、カエルはハマグリの開いた口に半分アプリケされている…若冲や芦雪や蕭白の奇想の系譜にガレも入れてください、と言いたい。
どの作品もくるくる回してみたいけどそうもできないし、でも心ある展示で、このカエルのようにもっと見たい!と思うような作品はガラスケースの端にあって、おかげで235度くらいはなんとかみまわせました。
ガレのガラス工芸のファンの方やシュールレアリスムや奇想の系譜作品が好きな方にもぜひとオススメしたい展覧会でした。