昨日のクリスマスは19時から、いわてアートサポートセンター風のスタジオで

マームと誰かさん 

穂村弘×マームとジプシー×名久井直子 「ぬいぐるみたちがなんだか変だよと囁いている引っ越しの夜」

を見てきました。

上の本はこの舞台のために作られた可愛い装丁の本で、名久井直子さんのデザインで舞台でもビデオの中で穂村弘さんのお父さんとの対話がありましたが、その対話ものっているし、会場でしか売らない本なのだそうです。装丁が素敵過ぎる。

上演前に物販で買いました。私の前の若い女性が買ったので釣られたところもあるけど、上演前の時間に読んで、買ってよかった!と思ったです。



上演後に穂村弘さんにいただいたサイン。

穂村弘さんは1962年北海道生まれで年齢が近いこともありますが、エッセイ特に独身時代のエッセイはこれは私のこと?というくらいで…。私も相当な『世界音痴』だし経験値が低すぎた(当時)。

何の予備知識もなく初めて読んだ穂村さんの本で摑まれたのは、

スティックパンをベッドに寝たまま片手で押し込むようにツーツーと口に入れて手品のように食べるところ。

まさにその「ツーツー」を動画で!スクリーンに映しだされるスティックパンを食べ続ける穂村さん。

青柳いづみさんは黒縁メガネにジャージっぽい(名久井直子さんを演じている場面でがヒグチユウコさんの猫たちの可愛いTシャツになっていて喜びである)スタイルで、ああ穂村さんだと思う。穂村さんは寝転んだ背中にパンの袋が当たっていて粉々になっていると感じる…このあたりエッセイで読んで好きだった。

どうやら引っ越し前夜なのになにも片付いていない部屋で、女の子が椅子からずるずるずり落ちる。

くてっとなった古いぬいぐるみが椅子から少しずつずり落ちていくみたいだった。あれは実際には相当なコントロールがいるんだろうなあ。

この椅子からのずり落ちは何度も繰り返され、不安な気持ちになった。この女の子もぬいぐるみ的な何かなのかという…。そういえば本人にそっくりなぬいぐるみを作るというサービスがあって、人から自分そっくりなぬいぐるみを贈られてこわい気持ちになるという短歌があった気がする。「鳥肌が…」というエッセイだったかな。

高めのざらつきの少しもない声は疾走しつづけ、いちばん印象的だったのは言葉についてのモノローグで、言葉が次から次へと流れ込むようなセリフを一切噛まず、テンションを高めていくところ。照明は彼女の目元にだけ強く、きらっとひかって言葉も輝きながら迸るようだった。

ひとり芝居ですが、スクリーンに穂村弘さんやお父さんが映し出され、スクリーンの中のお父さんと青柳さんは言葉を交わし、

お父さんの仕事と結婚についてのエピソードを展開する。

お父さんの転勤のために引っ越しと転校の多い子ども時代だと思っていたら、じつはお母さんが穂村さんの目を案じて占い師に方違を勧められての引っ越しで、お父さんは転勤していなかった笑。

この現実がぐにゃりする感じ、穂村弘さんの世界だと思う。

短歌やエッセイからの言葉やシチュエーションがあるとうれしかったが、この舞台の上で演じrsれて

名久井直子さんパートでは、彼女は特別に作ってもらったムラムラのある紙(上の装丁の遊び紙の紙)について熱く語り、本をパタパタエイのようにする。その場面がクリスマスツリーの切り紙オーナメントに!











切り紙のオーナメントは名久井さんによるもので、以前盛岡で公演した時にクリスマスだったからマームとジプシーでツリーを買って、そのツリーを物販のコーナーに飾っていたのでした。



舞台のあと無口な大きなチモシーがオーナメントにもなるチョコレートと名久井直子さんが世界中で買い集めてくる紙のコレクションから(ということだったと思うけど)。

クリスマスに来てくれて、と藤田貴大さんと穂村弘さんがチョコレートを買ってプレゼントしてくれたわけだけど、このチョコレートをもらうところまでが舞台の続きのように感じた。






穂村弘さんの最新短歌集の装丁は9通りあって、



私の買った本はCaの組み合わせでした。図書館から借りて読んでいたんだけど、記念に買って手元におこうかなと思って。


だから本を開いてそこに名久井直子さんのネコのサインと、

穂村弘さんの中の短歌から取った「きらっとひかるきらっとひかる」という言葉とサインはクリスマスプレゼントとしてありがたくいただいたのでした。

舞台ではお母さんを介護の末看取ったお父さんが動画の中で穂村さん(青柳さん)と、はいはいというけど強情っぱりで自分のやりつぃことをやっていたというお母さんについて、そうそうこんなこともあったよねと楽しげに語ってもいたけど、

時にその甘いものへの執着にお手上げになってもしまう。

ぬいぐるみたちがなんだか変だよと囁いている引っ越しの夜

もこの『水中翼船炎上中』に収められている。





‪いわてアートサポートセンターを出たら、‬


‪Nuit de noel ニュイ・ド・ノエル‬

‪にふさわしく雪が降っていた。‬

‪出来過ぎで恐ろしいほどである。‬


いっそ雪に混じってぬいぐるみやメガネの女の子が降りしきってもいいような気がした。