虹のかけら〜もうひとりのジュディ Zホール(奥州市文化会館) 令和元年11月10日(日) 15:00〜

行ってきました!

戸田恵子さんの舞台はDVDで「歌わせたい男たち」(二兎舎)を見ただけで、生でみたいと思っていたんですが、やっと見られて満足!

テレビドラマでも声優のお仕事でも、戸田さんのキリッとした声と雰囲気がすきです。マニアックだけど、「スケバン刑事」の音声だけのアルバムがあって、戸田さんが麻宮サキでした。






ジュディ・ガーランドについて知ったのは『夢の果てに』という小説がきっかけです。

『オズの魔法使い』の主演女優ジュディ・ガーランドと物語の中の少女の人生が交錯する小説。

向かいますの映画についての知識は淀川長治さんをはじめとする映画評論家の先生方の本のおかげで、ハリウッドの子役スターについては昔から興味を持っていました。

音楽とリーディングを交えた舞台で、ある時は女優としての戸田恵子さんの楽しいおしゃべり、

ある時はジュディ・ガーランドのスタンド・インであり親しい女友達であり付き人であり、心の中では生涯、ジュディを憎みながら愛していたようなジュディ・シルバーマン、

ある時はジュディ・シルバーマンが語るジュディ・ガーランド自身。

明るく颯爽とした雰囲気が持ち味の戸田さんが演じるとシルバーマンの影としての人生もジメジメしない。

幼い頃から睡眠薬と覚醒剤でギリギリ働かされてきたジュディ・ガーランド。話し出すと自分の恋愛話だけと言いながら、夢中になって話すジュディを憎みながら魅了されているシルバーマン。

いくつもの挫折と離婚再婚。抜けられなかった薬物中毒。

そんな中で何度も立ち上がり歌うジュディは虹の中で輝き、ジュディの人生に戸田さんの人生も重なって

舞台中央に積み重ねられたトランクケースの数だけ、人生の旅路があるように思った。

音楽も照明もシンプルなセットも、演奏する三人の女性(ピアノ 荻野清子 バス 平野なつき ドラムス BUN Imai )も、旅の楽団員であったり、オズのブリキの木こり、カカシ、ライオンになったり。



ジャンルは違うけれど少し前に見た塩田千春さんのインスタレーションの夥しいトランクケースが吊り下げられた作品を思い出したりもした。

虹は旅に似ている。

ドロシーもふたりのジュディも、戸田恵子さんも、観ていた自分も大きなトランクケースを片手に人生という虹を渡っていくのだろう。