太宰治の中でも「女生徒」「斜陽」が好きなのですが、『太宰治の辞書』のなかの「女生徒」では、主人公の学生時代からの友人、高岡正子(ショウちゃん)がこの短編におけるロココについて熱く語り、

それをきっかけに出版社勤めの主人公は太宰治が女生徒に調べさせたロココの定義は太宰治の持っていた辞書に載っていたのかと資料に当たって調べはじめます。

いやいやいやこれは太宰治がつくった架空の辞書でしょ、と最初から断定していたら知り得ないことがあるなあと思いました。反省。

主人公は「有明淑の日記」はもう完売してるだろうと図書館の検索にかかり、仕事で行こうとしていた母校の図書館に蔵書があることを知るのですが、

私はいま検索したらちょうど2019年10月に再販されていたので嬉々もちろん購入を申し込みましたよ。タイミングってあるなあ。

高校に入った頃読んで、わっ、すごいおもしろい!となって太宰治ファンになったきっかけだったと思う。中学の国語の「走れメロス」はそういうのもういいいから、友情とか約束とか道徳みたいなのは小学校で飽きたから、と拒絶反応が出て、あんまり入れなかった。

高校になって他の作品ですっかり太宰好きになってから読み返し、井伏鱒二らとの釣りの約束に遅刻したエピソードから思いついた小説だったと知って、あ、そういう軽い気持ちで読めばおもしろいなあとなったです。

でもやっぱり女性一人称の小説がいちばん好きですけどね。

高校からだから40年を経て出会う原案(でいいのか?)。高校時代はじめて読んだときの興奮はないけど、そうそうここ好きだなあと何度も同じところで微笑むのも楽しい。

「美少女の美術史」展に関連して制作されたアニメーション「女生徒」では遊佐未森さんが朗読を短刀していて、もうあの声でしか思い出せない。