
旧石井県令邸の紅葉とともに、
「安ケ平愛美テンペラ画展ー北天領域ー」に行ってきました。会期がきのう(10/27)までだったので、行くことができてほんとうによかった。

蔦の絡まった縦長の窓と漆喰の白い壁から落ち着いた光が入って、絵の作り出す世界と調和していました。テンペラ画というと中世の宗教画をイメージして、こういう画風と思っていたのですが、
金箔エッグテンペラ 洋白エッグテンペラ 混同技法テンペラ…などなど絵とともにテンペラの技法の世界も味わえる構成でした。
混合技法のテンペラ画は空気や蒸気や風のような目に見えないものがやわらかく描かれているのですが、その「ミルフィーユ」のように重ねていく技法は画面からは想像できないので、そのお話も伺えてよかった。技法と表現、テクニックと表現力ということにつねに興味があります。
2年くらい前に画材屋さんのワークショップで油絵具を作ってチューブに詰める、まで教えていただき、その時に先生がテンペラ技法で制作していることをお聞きして、
その後いくつかの展覧会で1、2点ずつ観てきたのですが、個展は初めてでした。
特に気に入ったのはこの作品でした。県令邸の細長い窓と窓の間に架けられた作品は教会のステンドグラスの感じもあります。これはほかの作品にも感じたことですが。
月読男(天照大神の弟神)のように見えたので、お聞きしたらモデルさんに中性的な女性を頼んだということで、「おもいでの住むところ」という画題ですが、女性が従来の結婚して子どもを産み育てるという生き方だけではなく、その人らしい生き方を選べるようになったということを表現している、そんなお話だったと思います。
それとは別に髪の色を褒めてもらったので上野千鶴子さんが好きで、というお話をしたら、安ケ平さんもよくご存じで思いがけずそこで話が弾んだのでした。
よしよし。