ついにリマスター版の「櫻の園」もちろん1990年のDVDを買ってしまったー。 私がこの「櫻の園」と出会ったのは1993年頃だと思う。たまに行くビデオ屋(当時はレンタルビデオの時代)に500円で売られていたので買ってきたのだ。当時からボーイッシュな女の子がすきだったので、つみきみほが出ているからという理由で買ったのですが、 もうね、すべてがいいんですよ。セリフの自然さ。ひとりひとりが実際にいる演劇部員のようで、100回以上繰り返し見たと思う。もうすべてセリフが入っている気がする。 主要人物は清水部長(原作では志水部長)、清水さんが思いを寄せる倉田さん(背が高くきれいな顔立ち。ボーイッシュな外見に似合わず繊細である)、清水さんに憧れる杉山、次期部長の城丸(しれっと朝帰り)、清水部長に反発する久保田副部長(きつい性格の上級生、よくいるタイプだけどふとみせる優しさがまたいい)、 なんだが、キャストではない2年生も照明小道具大道具など駆け回っている。その子たちのおしゃべりがほんとうに自然なのだ。 最初の方で、清水さんと城丸さんがサンドイッチをたべるところなんて最高である。城丸さんは大学生とつきあっていて、じゃあ大人っぽい子かといえば先輩である清水さんと話しているときは敬語だし、びっくりしたウサギみたいな表情が多く、幼く見える。清水さんの方はちょっとだけ大人っぽい。 つみきみほ目当てで買った「櫻の園」だったけれど、中島ひろ子演じる「清水さん」(マンガと映画はまったく違うものとして映画「櫻の園」を愛しているというか…)の表情の多彩さに魅せられてしまった。つみきみほは清水さんが倉田さんと写真を撮ったり、楽しそうに笑いあっているのを扉一枚隔てたところで聴いていて、煙草を一服するところが秀逸だった。 というくらい、あまりにすきなのでいくらでも語れる。もう脇役の脇役くらいの、「あとで写真を撮ってくれませんか」という場面まで入っている。憧れの倉田先輩に劇が終わった後写真を撮ってくれませんか、と友達と一緒にお願いに来た女の子は、倉田さんが「まあ、いいですけど」と受けた後、城丸さんと走っていったことに項垂れてしまう。 中野さんのきれいなお姉さん(元演劇部で中退してジューンブライドになるという)から清水さんと杉山さんがアイスを受け取り冷凍室に「入りきらないよ」と言い合いながら入れるところとか、アイスをかじりながら部員たちがおしゃべりするところとか、わすれられない。 わたしは演劇部だったこともないけれど、この映画を見ていると昔勤めていた高校の演劇部の女の子たちを思い出す。3人の部員で全員女の子で、ふだんは内気でおとなしい女の子が伝説の幕引きの親爺役で、圧倒的にウケていた。わがままな女優と彼女に振り回されているマネージャー、親爺さんというつかこうへい風のお芝居だった。ってもう30年以上前なのになぜ覚えているのか。 もう何百回も見たからいまさらいいか、と思っていたけれど(ビデオテープだったので引っ越しを機に処分して、そこから9年ぶりである。 もう30年近く昔の作品なのにいつまでも新鮮さを失わない。