タイトルは『ダイエット物語……ただし猫』ですが、2匹の飼い猫のダイエットとともに、懐かしき『結婚物語』の陽子さんと正彦さん(もちろん実際の新井素子さんと旦那さんを重ねていいのだ)も50代で健診であちこち引っかかり、食事療法(旦那さんは糖尿の数値が高い)や運動(陽子さんはγ–GTPなど血液成分が問題)に奮闘する。

(ちなみにカバーのキジトラの猫が新井家の猫「天元」でもう1匹の「こすみ」ともどもダイエットフーズを余儀なくされている)

その間に正彦さんの実家のゴミ屋敷化や高齢のご両親の認知症、陽子さんの大腸ポリープなど、

あの素子姫がなあと感慨深い。若い頃の新井素子は存在自体がSFだった気がする。なにか人間になった…いやもともと人間なんですが。

陽子さん(=新井素子)の産み出したウォーキングマシンで時速5.5kmで歩きながら読書しつつダイエットにもなる一石二鳥作戦には笑った。だんだん体力がついて筋肉痛もないし体重も落ちなくなったら、マシンに傾斜をつけて消費カロリーを増やす!

走ればいいじゃん。1時間で10km走れば体重×km分のカロリーが落ちるぞ!

しかし陽子さんは本を読みながらなら運動するが、ここまできても運動嫌い。時速6kmを超えると頭が上下して本が読めないから走るのはいや、と。

ということで、読書と体力増強は進むが体重は減らない陽子さんだった。

大腸ポリープの入院や検査、手術についてドクターとの対談(新井さんが実際にかかったお医者さんではない)もあり、大腸について初めて知ることがあった。

新井素子は短大時代、同じサークル(図書館研究会…どこまで行っても宇宙!みたいなわが人生である)の友人に勧められて読み始めた。
私は卒業後公立高校の司書になったので、自分の裁量で新井素子さんの小説やエッセイを購入して、もちろん自分も読んでいた。

『結婚物語』『新婚物語』もその頃出された作品で、SFよりこちらの方が自分にはおもしろかった。巻末には「夫婦対談」もあり、写真の中の新井素子さんは少しふっくらしたけれど相変わらずメガネに無造作にまとめた髪で、きらきらした目をしていて嬉しかった。変わらないでいてくれてうれしい。

『銀婚式物語』も読んでいないので、そのうち読もうと思います。