樹木希林さんの追悼番組の中で、浅田美代子さんが希林さんとの長い交際について、「エリカ38」について語っていて、これは盛岡に来たら絶対見に行かなきゃと思っていました。

樹木希林さんはヘボなインタビューには小気味いい皮肉をかましたり、ピシャッとやりこめたりしていて、そこがカッコいいとともに自分もきっとあなた何言ってるのと言われちゃう方だなと思っていたので、あの樹木希林さんに可愛がられた浅田美代子さんが羨ましい。

希林さんは肩書きを女優とするのは「優」の字が気になり自分は役者だとおっしゃっていたそうですが、

「エリカ38」の浅田美代子は女優、としか言いようがなかった。



浅田美代子さんの毒の部分を出した作品があれば、と希林さんは思って最後に自らプロデュースした。友情以上の、親子の情に近いものを感じる。でももちろん、浅田美代子さんにそれだけの魅力があったからだ。



ブランドのバッグなどの小物は全て自前、派手めな服は若い頃着ていたものを出してきてほとんど自前ですって。これぞ女優!って感じだ。



エリカが財産目当てで結婚した男性は結婚してわりにすぐ身体を壊して死亡。

なんと中学生日記の岡本富士太さん!

ほかにもエリカに誑かされて一緒に遊園地で遊んだりする金持ちに小松政夫さん、

エリカを最初にこの詐欺に引っ張った謎の女社長伊藤役に木内みどり、

そして伊藤がエリカに紹介した「ものすごく忙しくてまず普通の人は会えないような人なんだけど」という平澤を平岳夫。会場に集まった人を前に異常に説得力のある支援金集めの話をするところのスーツなんて舞台劇の雰囲気…。

そこから裏切られたと気づいたエリカが集金したお金を渡さず連絡を絶ったため、たぶん、集会でボコボコにされたらしい姿の落差がすごい。


エリカもついに自転車操業が終わる時が来て、アジアの恵まれない子どもたちに教育の機会を!でお金を引っ張った後に今度は養殖マグロの事業説明…イヤイヤイヤ。

最後は支援者たちがエリカの豪邸で詰め寄って、お金の収支は?弁護士を呼ぶというが会ったこともない、お金を返して!と叫ぶ女性もいて、見ているこちらがドキドキするのだが、エリカはいつもの笑みを絶やさずヒステリックになったりせず、

結局彼らは帰り、平澤みたいにボコられることもなかった。

最後は豪勢な真っ赤な外車を売り払い、羽振りがよくなってから呼び寄せて一緒に暮らしていた母をふたたび施設へ。

残ったお金で最後の豪遊とばかりタイに飛び、若い愛人を作りやがて現地の警察に逮捕される…。

モデルとなった事件はあっても、映画は役者たちの魅力が違う世界を作っているようだった。浅田美代子の可愛らしさ。どんなハードな局面でも、にっこり笑ってソフトな雰囲気を醸し出す。

樹木希林の演じた母親は施設ではぼんやりしていたものの娘の豪邸に越してきて次第にシャンとして、

しかしエリカが落ちぶれると精気をなくし、一緒に赤とんぼを歌いながら赤いマニュキュアを塗るところはなんとも言えない映画的な場面だと思った。またここに少女時代聡子(エリカの本名)が母が父に責められるのを物陰で聞きながら涙し、震える手で口紅を塗るシーンが重なった。





エンドロールは全てアルファベットで、

KIKI  KIILIN

ってカッコいいなーと思いました。

ではでは♪