きょうはまず、村山槐多展2期(〜9/1)を観て、14時からの渡辺えりさんの講演会はもちろん外せないし、ということで11:30〜14:00の「高校演劇の4企画 60分で世界を描く! PartⅢ 〜リーディング&ブラッシュアップ〜」へ。

会場がわからず少し遅れて入ったのですが、

このPartⅢのまえにⅠ、Ⅱがあって、おそらくみんな高校演劇部と顧問、関係者らしく手にプロットを持って聞いているのですが、自分は途中参加なのでプロットが手元になく、メモを取りながら見ていたのですが、返って集中できてよかったかも。

ナンにつけ、

専門でもない自分が出たり見に行ったりして意味があるのかと思うのですが、

ふだん何気なく見ているお芝居も、専門的な見方や技術を知るといっそう楽しめる気がします。


高校生たちのリーディングのあと、講師の先生たちから言葉が飛び交い、ブラッシュアップされて行くのですが、リーディング1回ではよくわからず、言葉が飛び交う中から浮かび上がってくるのもおもしろかった。


1、3月の午後のファミリーレストランにて 女3+1


+1はリーディングでト書き部分を担当するナレーションのことで、このお芝居は三人の女性が登場しています。

甘いものをめぐる表現、匂い、さまざまなディティールについての検討があります。
震災と言って必ずしも3.11だけを連想するとは限らず、いろんな災害が起こっているということが指摘され、

2、郵便局 男2+1

このリーディングでは講師によってこういう設定だったら?という提案があって、リーディングの後すぐに講師が読むとおりをプロットに高校生たちが書き込んで、すぐまたリーディングを演じて、細かい指示などはないのに、明らかに1回目とは間合いや言葉の重みが変わっていて見やすくなっていました。

講師の先生たちからは郵便物を床にバラまけるタイミングとか語順によってどこを強調するかとか、いろんな角度からの提案があって、私は聞いているだけなんだけど、そのたびに新たな場面を浮かべて楽しい。

3組の男女によるシーンを同時にやることによって高校生の恋には至らない、清涼飲料水のようなさわやかな関係を浮かび上がらせたブラッシュアップもあった。

デバイジングメソッドと言うんだそうです。シーンを積み重ねてそれぞれの日常のシーンを構成する。本来は「睡眠観察」「ゴミ捨て」「夏の夜は墓地にて」という三つのお話が刻まれて同時に演じられる不思議な効果。

語順の入れ替えとすべてをセリフにせず観客のイマジネーションに委ねると言うこと。

例えば、

「本田さんと一緒なら俺だってオバケ役できるかも」

を、

「本田さんと一緒なら俺だって!」

とするとか。

最後の「ポストポストポストイット」は先生たちの研究会が舞台で、生徒たちのいい面悪い面をそれぞれピンク、ブルーのポストイットに書いてマトリックスを描いた模造紙に貼っていく。

いまの学校では先生たちも授業でも、講義型は流行らないらしくなにか作業をさせる形だと言うことも知ったりする。

大人しく、自信のなさげな女性教員が、ポストイットを貼るところがないなら自分にピンクのポストイットを貼ってくれと言ったことから、

だんだん雰囲気が明るく自信に満ちて行くのが面白いなーと思って見ていたけれど、

逆にブルーのポストイットなら?とか、生徒たちの欠点を書くのは平気でもそれを人に貼ることはできないとか、いろんな見方があって面白かった。

ディスカッションを聞いていると自分はつくづく語彙が少ないなーと思ったし、どうしてこんな言葉や表現が出てこないんだろうと思ったけれど、

演劇をやらなくても人と関わったり言葉を使ってコミュニケーションを試みる限り、ひとは演劇をやるやらないに関わらず、演劇に無関係ではいられないというのがきょうの結論。

また変わってくるかもしれないけれど。