こんにちは!

香取慎吾の「凪待ち」があまりに良かったので、稲垣吾郎主演の「半世界」も見たいなあと思っていたら、

お客様から仙台のチネラヴィータで来週の木曜日までやっているというじょうほう

きのうは仕事が終わるやいなや駅までダーッシュ(ってクルマです)。仙台行きに乗って、車内でチネラヴィータのHPからチケットを買おうとするも、


「販売終了」

のメッセージが…。

えー。

日中チェックした時はまだ空席があったのに完売しちゃったってこと? 油断したな。クレジットカードの入力でお客様がいらっしゃったので、後にしようと思っているうちにきっかけを失ったんだよね。車内でやればいいかなーって。
甘かったか。

でもここまで来たんだから一応行って立ち見でもいいからと交渉するだけしてみるか…

と、仙台駅東口から徒歩1分とはあるが2Fだしそもそもホームから東口までノンタイムってわけにもいかないんだが。



それでもチネラヴィータに開演3分前には着いて、あれはネットでの販売終了という意味だったようで、無事前から3列目の真ん中寄りのシートを取れてよかった。

「半世界」、すごくよかった。
仙台で見られてよかったと思う。チネラヴィータの中でも小さな館だったのでどこに座っても映画の中にいるような気持ちになれたのです。

登場するひとがすべてリアルで愛しく思えた。池脇千鶴さんは田辺聖子の「ジョゼと虎と魚たち」以来だったけど、相変わらず童顔で可愛いんだけど、ものを食べているところが特に自然でこの人だったらこういう風に食べるだろうなと思わせられた。口に物が入ったままで話して話した後も咀嚼しているところなんか、上手いなあリアルだなあ、こういう人好きだなって。

冒頭の森の中の濃い日差しと、地面にに落ちたは木漏れ日と細かな葉の反射の情景。

木を切り倒し、トラックに積んで窯に入れて焼き、窯出し、お得意様に配達する炭焼き職人の仕事そのものがまず興味深く、稲垣吾郎演じる紘(こう)が粘土で窯の口を塞いだり、真っ赤に焼けた炭をかき出すところなど、地味な場面なのに惹きつけられた。

自衛隊派遣で海外から戻り、離婚して廃屋になった実家に戻ってきたエイスケと、親父の跡を継いで中古自動車販売を生業にしている光彦。

エイスケと紘は少し似たところがあって片意地を張ってしまうが、間に入る光彦の存在が三人をなんとも言えないいい距離感の友達にしている。

紘の息子は学校で不良の生徒たちに虐められているが、とにかく目がすごく印象的でやられてはいるが負けてないぞというプライドがある。そのプライドを母親が突いた時思わず手を出してしまう。

エイスケが彼にケンカの組み方を教え一緒にウドンを食べに行くが、ケンカのやり方というより、自分を気にかけてくれる大人がいる、ということとギクシャクしてしまう父と自分は、父の父と中学時代の父と重なると自然に感じたことが励ましになったのではないか。

自分を舐めていた不良たちを父が焼いた炭(硬い!)で殴り反撃に出た彼に、不良たちのリーダーであり彼が転校してきたことがイジメの始まりだった少年が、
「炭って硬いんだな」と何気ないように言うところもよかった。お前やるじゃんと言いたかったんだと思う。お前の家の職業や家を馬鹿にして悪かったという意味も。それをくどくど言わせないところがこの「半世界」の優しさとリアルさだと感じる。

39という年齢で亡くなった父の跡を継ぐことを決めた息子は、仕事場にサンドバッグを置いて、炭を焼く間ボクシングのトレーニングをしている。

まだ稚い雰囲気の息子が自分で選んだ人生をここから歩いていくんだなと思い、

エイスケも光彦も光彦の父も、気丈な母もリーゼントの不良も、みんなこの世界でかけがえのない日常を生きていくんだなあとしみじみ思った。



(このパンフレットもよかった。インタビューがどれを読んでも頷ける中、稲垣吾郎の「半世界」の捉え方や見方に共感)

大きな事件は起こらないし、小さな町(たまたまの偶然だが、この日のお客様に三重県出身という方がいらっしゃって、ああこんな穏やかな海を見て育った方なのかなともちろん私のことなので正確な地名も忘れて勝手に想像する、でもなにか繋がりがあったと思う。

炭火焼き職人の作業を丁寧に描いているので、昔、俳句の句会で一緒だった女性がお父さんが炭火焼き職人で山に暮らしていたとその頃のことを詠んだ句があったことも思い出した。句は思い出せない。