やっぱり行こうと一回思ったら、あしたにはできなくて行ってきました。帰宅後すぐに生地を2つ仕込んでいま3つ目の待ち。

「凪待ち」、よかったです。

でも私はこの「誰が殺したのか?」はそんなに気にならず、それより郁男(香取慎吾)のダメっぷりとそれをどこまでも助けようとする人の方が…。

香取慎吾の顔もボディもこの役のためにあった、と思うくらいよかった。本人の素の中にある、甘さや優しさや素直さや自己嫌悪や、そういうものがうまく役に乗っていたのかもしれない。しかし何度もあった激しい立ち回りと暴力場面がこのためにこの体を作ったのか、というくらいよかった。どんなにダメでグズな男を演っても、だらしなく呑んだくれていても、やっぱり惹きつけられる魅力がある。

最後の方で、亜弓の父と亜弓の娘と亜弓を失った郁男が歩いている場面を正面から撮った絵は熊谷守一の「ヤキバノカエリ」を連想させたです。


(長女萬を亡くした時の絵で、左が次女、真ん中が長男、そして守一)

ヤクザの事務所から郁男を引き取って(ヤキを入れられて顔は血まみれである)帰る途上、郁男は亜弓の父と娘の間で、子どものように顔を覆うこともなく泣いている。

私はストーリーを全然知らなくてキャストも香取慎吾しか知らなかったので、リリー・フランキーは流石にわかったけど(そんなに映画を見ているわけでもないのに遭遇率が異様に高い気が…)、亜弓はエンドロールまで誰だっけと思っていました。

ショートカットで美人で明るく、気が強く娘にはうるさいお母さん…。西田尚美だった。リリー・フランキーに比べて遭遇率が低くて、息子を産む1週間くらい前に見た「OUT」の妊婦役から久しぶりに見たので分からなかった。

入籍はしないまま5年同棲していた郁男と亜弓、亜弓の連れ子であるミナミ(パンフレットを見て美波だと知った)は亜弓の実家のある石巻に帰ってくる。父は津波で妻を失ってから気難しくなり体も思うようにならない。

亜弓が惨殺されたことから、郁男の生活は急速に堕ちていく。ギャンブル。暴力。過度の飲酒。多額の借金…。

すべてを許して救いの手を差し伸べた亜弓の父と美波。何度も目を閉じたくなる場面(暴力シーンではなく、ギャンブルを重ねて借金を増やす郁男が見ていられないんです)があったけれど、そのくらいリアリティがあったということ。

香取慎吾は背も高く手足も長く、痩せればカッコいいのに、と思っていたけれど、この体と雰囲気がこの役を引き寄せたというか…。小学校の頃からダンスのレッスンを受けてきた彼が背中を丸めてだらしない雰囲気を出していても、どこか可愛いらしさがあって、大きな犬のような無垢な可愛さがのぞく。

郁男を倅だと言ってヤクザの事務所から引き上げる亜弓の父もよかった。若い頃前科一犯だったため結婚を反対されたという郁男に語った過去が生きる展開…。

どの役者さんもうまかったなあ。
いい映画を見られてよかった。



なぜ見ていなかったのか悔やまれる「クソ野郎と素晴らしき世界」の来場記念サイン入りポスター。



平日の夕方からの映画なんて無理だと思っていたけど、カーブスをサボれば大丈夫だった。



こんなお店や横丁ができていたんだな〜と夜の雰囲気だけ味わって帰ってきた私です。

ではでは♪