きょうは萬鐵五郎室解説でしたー。

 

私は2012年から岩手県立美術館友の会ボランティア解説グループに入っているのですが、

 

(いつも簡単に解説ボランティアと云っていますが、じつは友の会ボランティア解説グループが正式名称なんでした)

 

実際に解説をはじめたのは2013年6月からだったので、6年やっているんだなあと。解説グループに入って最初は、まずできるだけ他のひとの解説を聴きに行って、メモを取ったり質問したり、自分でも読めそうな本を読んだり、でも全然予備知識がないのでツラかったり(笑)。

 

いまでは黒田清輝も東京美術学校も外光派も大下藤次郎もイタリアの未来派も、すべてどんなものかくらいはわかるのですが(詳しく話せと言われたら無理ですが)、

 

当時は近代日本洋画についてまったくなにもわからんちんだったので、勉強が楽しくなかったなあ…。楽しくなったのはあるていど知識が頭に入って、自分から進んで近代洋画の画家の展覧会に行くようになってからでしょうか。大下藤次郎展を見て萬鐵五郎はこのひとの水彩画に憧れて、本を読みながら独習したわけで、と思ったわけで。

 

グループ全体の研修は年に2回くらいであとは独自に勉強しましょう、という個人主義的なグループなのでそこも楽でよかった。

 

きょうのお客様は若いカップルで、ちょうど萬さんが東京美術学校に入った頃、21、2歳ということで、ああ、このひとたちくらいの萬さんは絵を勉強し、結婚し、子どもがうまれて人生でいちばんしあわせだったときを過ごしたんだなあと思いながら解説をしました。

 

私が解説をする日はお客様が1、2人とか多くても4,5人くらいなので、解説というより、絵をみながらおしゃべりをしている感じなのですが、それでも熱心に聞いていただいてうれしかった。

 

最初の頃は、解説にいくぞ!資料をコピーするぞ!あれもこれも話したいぞ!と思いすぎて遅刻すれすれに駆け込んだり、

 

お客様がゼロでがっかりしたり、

 

ほんとうに始終心をゆさぶられていた感じがします。

 

きょうも10分くらいすぎてもお客様がいないので(企画展から企画展のあいだの時期は美術館全体にお客様が少ないのもある)、監視員のお嬢さんに萬さん情報を話して自分の復習をしたりしていたのですが、

 

そこにお客様が入っていらして、声をかけて聞いていただけることに。ほんとうにありがたかったです。

 

この6年の間に何回…基本的に月2でやっているけれど確定申告とかイベントや旅行があれば月1回だったので平均年20回として120回。萬鐵五郎室からはじまって、松本竣介・舟越保武室、常設展示室(岩手県ゆかりの作家の作品を展示してある、4室つづきの展示室で、個人的にはいちばん難しい展示室という感じがして、最近になってやっと当番に入れるようになった)と、勉強もしたけれど、その勉強は楽しかった。

 

いろんな美術展を見に行って、その展示室の中に知り合いが増えたって感じ。もともとすきだった高橋由一も、解説ボランティアをやるようになって、これはやっぱり、金比羅様にある高橋由一館にいかんとあかんわ、と思って実際行ってみたりもしたわけで。黒田清輝の紫派にたいして、脂(ヤニ)派といわれ、近代洋画のはじまりがどのようにしてはじまったのか、について、すこしだけ知識が得られた気がした。

 

また、関係ないようですが、いまパン屋をやっているのですが、もし、月に2回程度でも絵について解説するということがなかったら、もともと接客業を長くやっていたとはいえ、すぐに入っていけたかなということも考えます。

 

逆に、接客業に向いてないと思いながらけっこうな年数を接客業で過ごしたことが、人前に出て解説をすることに抵抗がない、という理由かも。小学校まではすごい上がり症

で、授業中手を挙げたことはほとんどなかったくらいなのに。

 

苦手な接客業でも、勉強して商品知識を身につければ売り場に立つことが楽しくなり、売上が上がればますます勉強にも身が入り、という時代をすごしたことも解説ボランティアに役立っている気がします。

 

人生という樹木についた経験の葉っぱはいずれ腐葉土になって、樹木の肥料になっている、そんなふうに考えます。