岡上淑子展の図録がすごく良かった。岡上淑子のフォトコラージュを1枚に1作品ずつ載せていて、つまり裏が白いわけです。
その白い裏が次の作品を明るく照らし、作品が際立つ気がします。
「彷徨」
フォトコラージュのほとんどは1953年〜55年制作で、この図録には収められていないのですが、フォトコラージュに行き詰まりを感じていた、勧められて写真をはじめ、
愛用のKonicaや二眼レフカメラ、露出計の展示ともに、シルバーゼラチンプリントの写真作品もあって、鉛筆で繊細に描かれた超リアリズムの絵のようでした。また洋裁の方が一式や、スケッチ、日本画など、図録には掲載されていない作品や関連資料が出ていました。
これは図録に小さく載っていたドレスですが、会場に展示されていたドレスのマネキンも岡上淑子作品のドレスの女性のようでよかった。
図録には作品ごとの解説などはないのですが、「夢のしずく」というエッセイの中で、
「『海のレダ』は私の一番好きな作品です。女の人は生まれながらの順応性を与えられているといいますが、それでも何かに変っていく時にはやはり苦しみます。そういう女の人の苦悩をいいたかったのです」
と記しています。
1928年に高知に生まれ、東京で育って戦争をくぐり抜けて青春を迎えた岡上淑子。
1926年生まれの茨木のり子の「私が一番きれいだったとき」や1928年生まれの田辺聖子の「欲しがりません勝つまでは」などを重ね合わせて、焼跡の光景が残したものを想像する。




