(8/31の夜に書きかけたところから書き足します)
もりげき王2018年決勝を見てきてしまいました。あしたは土曜日なんですけどーっ!
でも全然後悔しとらん。
見てよかった!としか思ってません。
後悔はあるな。
風邪になりそうだったので見に行かなかった予選Aから脚本賞と演技賞が出たので、うぬぬと思う。とはいえ、もし決勝しか見られなくても、
あーよかった、決勝だけでも見られて、と思うんだろうなあ。
決勝は予選A勝者ーProject A [to you]
予選B勝者ー片目で立体視 [知床パラドクス心中未遂]
もりげき王 日本人[僕が遂げた非業の最期について]
この順番でした。
ふと気づいたら、
みんな死者の出てくる物語だなあと。
[to you]の豆腐屋の角で倒れて死んだ、居酒屋の板長。天涯孤独と語っていたゲンちゃんの通夜に集まった3人は豆腐にロウソクを立てて、ゲンちゃんのあちらの世界での誕生を祝う。その火が消された瞬間、ゲンちゃんの通夜にいた女性が意外な呼びかけをする…。
私はあ、そうか!とびっくりし、息子は最初からそうじゃないかなと思ってた、ベタでしょ、という。そう言われればそうか。そうかな。
[知床パラドクス心中未遂]
なぜ知床かというのはきょうわかった。1度目はよく話がつかめなくて、2度目でわからなくていいところがわかった(笑)。映画でシーンの間にフラッシュのように挟まれる光景というやつがあるけど、そんなイメージだった。最後に一人になった男が音楽を聴きながら自分を消すように照明が消えるところがしみじみした。白い服をきた女の子がババヘラアイス売りのおばあちゃんになって、ムック本をくるくる巻いて運転席の男に渡すところとか、最後の方の男の後ろで遠くを見ているところがよかった。
セリフはめちゃくちゃロジカルなのに、男二人の表情は生っぽくて胸が痛くなるようなギャップがいい。
[僕が遂げた非業の最期について]
いきなり刑務所なんである。新入りと20年脱獄を夢見て穴を掘る続けているという巌窟王のような男。この巌窟王がくるくるよく動いて魅力的だった。壁にあけられた穴から出入りするところでなぜかお岩さんを連想する。
新入り(トキオ)はなぜかカラーゴムで髪を控えめな柔ちゃん風に留めている。
舞台の上手に女性の顔だけがにゅっと出ているのだが、話が進むうちに「ゆいちゃん」という男の大切な人で、なんらかの病気で記憶障害と認知の歪みがあるらしく、笑顔でトキオに自分を遊園地の花道に埋めてほしいと頼むのだった。
彼女の世話に疲れていたトキオは彼女を埋めてしまう…えっ!
巌窟王男はついに脱走できるくらい掘り進めたらしく、穴から出ていってしまう。
そこへ恩赦のベルが鳴り響く。トキオが糸電話に向かって叫ぶ「王様の耳はロバの耳」と降り出した雪…。巌窟王男は脱走を夢見て掘り続けたトンネルから出られず、凍り死にするのだと思う。
では「僕」はトキオじゃなくて「巌窟王男(私が勝手に名付けただけで、カキッとしたセルフレームのメガネの男です。巌窟王というよりショーシャンクの空風)なのか。
セルフレームの男はそうは見えないのですが、一種の天使のような存在かもしれないなーと思ったりもします。
優勝は片目で立体視(嵯峨瞳さん)の[知床パラドクス心中未遂]。
日本人さんの3度目の優勝はならなかったわけですが、
花が太陽を浴びてパッと咲き、日が暮れてしぼむようなゆいちゃん(なんでも結ぶというので結衣ちゃんでもあろうか)、
狭い穴を小さな台車で器用にスルスル出入りする黒メガネの囚人、
キャラクター賞というものがあったら、このふたりが該当するのではないかと思ったです。
結果発表の前に3人の審査員からの講評があって、自分だったらこうしてみるかな、という表現や、ラストに至る説得力のある情報を、という指摘にそう言われればそうかと気づかされ、違う審査員の意見にも発見があり、
審査員の講評はもちろん舞台の作り手に向けてのものですが、その講評自体が演劇のように味わい深くよかったです。
来年は何としても3日間通いたいなーと思いました。
ではでは♪
