めがねと旅する美術展
見えないものを見るための、世界ののぞき窓
青森県立美術館
2018年7月20日(金)〜9月2日(日)
青森はもうじき会期終了ですが、島根県立石見美術館(9月15日(土)〜11月12日(月))、静岡県立美術館(11月23日(金・祝)〜2019年1月27日(日))の巡回展もあるので大丈夫。
今回は東京での飛地展示もあったもよう。
ちょっとおもしろくない気もするけど、展示の中で印象的な浅草十二階 凌雲閣 が東京にあったものなので仕方ないなーと。
だいたい展覧会というと東京でしょ? 東京に住んでいる人はいいけど、東京から遠く離れたところに住んでいるとすんごいハンディを感じるわけだ。地方のみの巡回展があったっていいじゃないのと思う。
凌雲閣は江戸東京博物館にもありますが、浮世絵で見るとその晴れがましさが伝わってきます。ああ江戸と東京の狭間にあったんだなと思う。関東大震災で被災して取り壊されるまで33年間しか存在しなかったそうです。
トリメガ研究所(青森県立美術館、静岡県立美術館、島根県立石見美術館の3人の学芸員さんたちのチームで、今回の「めがねー」は「ロボットと美術」「美少女の美術史」につづく第3弾なのでした。上の写真も展示されていました。
この写真の奥が新作アニメーション「押絵ト旅スル男」(塚原重義監督 江戸川乱歩原作)の上映会でして、そんなに広くないスペースに畳敷きなのが昔の小屋のイメージでうれしい。
で、「押絵と旅する男」の中に大きく凌雲閣が出てきて、なぜ浅草十二階凌雲閣が「めがね」の展示に出てくるのかが腑に落ちたのでした。
ちなみに私が凌雲閣を知ったのは『この女に賭けろ!』というマンガでして、ある実業家がバブルの頃計画した浅草のテーマパークが頓挫して、跡地に謎の塔が残っているのを見て主人公の後輩のオタクな青年が「凌雲閣!」と叫ぶわけですよ。
えー!なんでここに!といううれしい再会がたくさんある展覧会だったなあ、まあ展示作品というか展示されているものが多いからなのですが、
いま気づいたんですが、西暦と年号の併記は時代背景も意識させられますなあ。1925と2001より大正と平成の方がイメージがわく。
不染鉄は東京ステーションギャラリーで、諏訪敦さんの絵は長谷川町子美術館や東京都美術館で見ていたのですが、この対比はよくぞ、って感じがして楽しかった。
これは山形まるごとマラソン(ハーフ)のあと、コース上の文翔館に入ったら掲げてあったんです。高橋由一の絵が好きなので、この偶然はうれしかった。
このセクションのタイトルは「遠めがねー世界をとらえる」。
空想の地図やリアルな廃墟もあり、ひとつひとつが発見でした。
眼球についてはめがね屋時代勉強したので、いろいろあった中でも目玉関連のイラストに釘付けです。
中村宏さんの絵は「美少女の美術史」で出会って、以来国立近代美術館でもたびたびお目にかかっていたのですが、
今回はほかのセクションにもまた違う手法の作品が出ていて、中村宏はこんな感じだなという先入観を粉砕されたのもおもしろかったです。
絵でも彫刻でもないのですが、覗きめがねの展示が多く、江戸川乱歩の見世物小屋や蝋人形(蝋人形がやたら多く出てきた気がする)の雰囲気を味わいながら一個一個見て歩いたです。
時間がどんだけあっても足りない。
この作品は見覚えがあると思ったら、2017年5月24日に上野で「バベルの塔展」をみたあと、T3 フォトフェスティバル 東京 2017年を見たんです。屋外展示のちょっとスタンプラリー的な展示で、
鈴木理策さんの作品をネットで見て行きたいと思ったものの、上野公園だし会期はぼちぼち終了だし、と諦めていたんでした。そこへ水曜日のダウンタウンからの出動要請!一石サントリーくらいのありがたさである。バベルの塔も見ました。
鈴木理策さんの作品は大噴水の中に浮かび、米田知子さんの作品は市田邸に展示されてあった。記事をちゃんと書けばよかったなーといま思って、今後はできるだけ残すようにしたいと思う私です。
ではでは♪