佐々木倫子さんの『動物のお医者さん』からずっとファンですが、この『Heaven?』も相当すきで、コミックスはいい加減買い換えたいくらいぼろぼろです。

全6巻の最終巻の中で、「幸せな一日」は特にすきなエピソードです。


いれば仕事の邪魔にしかならない(時々文筆業らしい鋭い指摘はありますが、従業員一同の疲弊の大元ですから)オーナーが朝からいないとわかっているため、

みんな仕事に集中できています。シェフの晴れやかな顔。

予約が3組しか入ってなくても、最善の仕事ができたというその達成感。



同じ給料だったら余計な仕事を増やすのはやめよう、などという退嬰的な発言は出てこないんですね。みんなより良いサービスのためなら労を惜しまない。


完璧に準備ができたという、そのことがすでに報酬なのです。わかるなあ。


お客様に心地よさ、清新さ、楽しさを提供できたという喜び。お客様の満足がうれしい。



牡蠣のメニューに「徳田様…牡蠣お好きでしたよね」とお客様を思い浮かべる、というのもいまならわかります。

いい出来のパンを前に、このパンあのお客様がおすきだったなあ、きょう買いにいらっしゃるといいなあと思うことはよくあります。

それが当たった時のうれしさ。

また、いつも作らないパンを作った日に、

このパンが大好きなのよかった、と言われるとやりがいを感じます。


…ところでこの降っている花はボッティチェリーの「プリマヴェーラ(春)」の画面に降っているアレですよね。オーナーの髪型も時々神話の女神風ですし。


この40年後の伊賀さんとオーナーの会話も洒落ていてすきな終わり方です。


昔はなんともなかったんだけど、私の年齢がこの場面のふたりに近づいているせいか、胸がチクッとする気がします。

ではでは♪