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山岸凉子の解説でいちばん喜んだのは60代の水木しげるを「ちょいワルオヤジ」と感じた部分や、学生時代に妹からねずみ男と言われたことではなく、


「日出処の天子」のメインアシスタントだった女性がとにかく緻密な背景や効果がうまく、前はどこにいたのかと聞いたら、水木しげる先生のところで働いていたと聞いて納得、というエピソードでした。

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村澤昌夫さんの「水木先生とぼく」に出てくるこの女性アシスタントだと思われます。べつの記事で、点描は先輩だった石黒美影さんが上手くて、と書かれていたので。

中学を出て水木先生のアシスタントになるために上京して、という経歴からしてもなみなみならぬ画力だったのではと想像されます。水木プロで8年くらいアシスタントをして次が「日出処の天子」時代の山岸凉子のメインアシスタント…剛腕すぎるだろ。

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切り貼りシステムは仕事がヒマな時に緻密な背景の大ゴマを描く作業をアシスタントにさせて、

いざ仕事が立て込んできた時でも緻密な背景画をバンバン貼って(人物が入るところは空けて描いてもらう)ひょろっとした線で人物を入れて瞬く間に作品を描きあげていくシステムである。

アシスタントの腕前も上がり仕事がないからヒマということもない、水木しげるの親方としての力量も垣間見える。

手塚治虫のエピソードを思い出す。

手塚治虫はファックスのない時代に海外から電話でアシスタントにコマ割りをさせ、資料も棚にある過去のマンガの何ページの何コマ目と口頭で指示を出して、成田空港帰国と同時に缶詰となりマンガを完成させたという。

ひー! 絵のかけない私にはもちろんどっちにしても無理だけど、海外からの口頭でコマ割りって怖すぎる…。

水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」はもちろん60年代生まれの私の年代はテレビのアニメで知って、という人がほとんどだと思われます。30代くらいからちくま文庫で大人向けの水木マンガを読み、エッセイを読んで読めば読むほどもっと読みたくなり、

マンガが好きなのかマンガの向こうにいる水木しげるがいいのか、水木しげる・武良茂の人生に惹かれるのか、判然としないまま読んでは忘れてまた読んで新発見し、この調子でこちらもあちらに行くまで読みつづけると思う。大人になればなるほどおもしろく感じられるから。